【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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35: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:41:43.16 ID:oj63shz20
「……ああ、そうか。半年早いってそういうことか」

 俺がアイドルのみんなと出会う約半年前の、283プロに入ったばかりの写真もあるのだ。あの頃は切羽詰まっていて、行き場のない焦燥感に駆られていて、精神のギリギリの所をなんとか取り繕っている状態だった。それはもう酷い顔をしていたに違いない。

 あの当時はじっくりと鏡を見る余裕すらなかったので、その酷さを具体的に想像できないが、はづきさんが「刺激が強い」と評したということは、つまりそういうことなのだろう。

「あー、前の職場で色々あってな。変に気負って無理をしてたんだ」
「前の、ってことは……」
「ああ。283プロに移ってからは、そういう無理はしてないよ」
 心配そうな智代子に、つとめて優しく言う。嘘はない。283プロは働き甲斐のある職場だった。

 凛世がやや怪訝な眼差しをこちらに向けた。

「最初の一年……プロデューサーさまは二度ほど……過労でお倒れになったかと……」
「え」

「そういや、あの頃はプロデューサーっていつも事務所にいたな。自主的に休んでるところなんて、ほとんど見たことなかった気がする」
「あ、いや、それはだな……」

「樹里ちゃん、凛世さん、もう少し見てみましょう。プロデューサーさん、自分のことになると発言がテキトーになりますから」
「お、果穂も言うようになったねぇ。……付き合い、長くなったもんねえ」
「はいっ! みなさんのことなら、もうなんでもわかりますっ!」

 彼女たちのアルバムをめくる手に、より一層熱が入る。イタズラをたしなめられたようなバツの悪さがあって、しかし心地よさも確かにあって、俺は苦笑いをするほかなかった。
一歩引いて壁に寄りかかる。


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