【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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38: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:43:21.55 ID:oj63shz20
「これでいいか?」
 前傾姿勢をとり、前髪を掻き上げた。

「はい! プロデューサーさんに押すのはこれです! 『たいへんよくできました』っ!」
 額に短く弱い圧迫感を感じた。智代子が満足そうな顔を浮かべる。どうやら綺麗に押せたらしい。

「はい、樹里ちゃん」
「それじゃあアタシも遠慮なく……えいやっ。ま、やつれた顔が多かったのは気になったけどな。よし、はい果穂」

「えへへっ! 隠れ笑顔一等賞ですっ、プロデューサーさん! ……どうぞ、凛世さん!」
「では……」

 あっという間に『たいへんよくできました』が四つ、俺の額に押し込まれた。額にはまだ圧迫感がほんのりと残っていて、それが少し誇らしかった。誇らしくて、幸福にさえ感じた。だけれども――

「お次は、夏葉さんに……夏葉さん?」
 思考が途切れる。凛世の声につられるように、彼女と同じ方向に視線を向けた。

 折りたたみテーブルの横に一脚だけ置かれた木製の椅子。そこに夏葉は座っていた。背筋を立てて、左手の拳を右手でくるみ膝の上に置いて、小首をかしげるようにして、微動だにしない。

「夏葉?」
 目を閉じていた。グレーのアルバムを開いて、彼女は静かに眠っていた。

 開かれたアルバムから、死んだ魚の目がこちらを傍観していた。それに夏葉がうつむいているように見えたのは、きっと気のせいではないのだろう。



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