【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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4: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:20:43.71 ID:oj63shz20
「別に、結婚するのが嫌なわけじゃないの。そんなはずない。好きな人と一緒になれるのだから、嬉しいことに決まっているわ」
「なら何が引っかかってるんだ?」
「見えてこないのよ。その生活の中で、私は何をしていて、何を目指しているのか……それが、見えてこないの」
 夏葉の声には抑揚がなくて、まるで自分自身に言い含めているようでもあった。

「……夏葉が、アイドルじゃなくなるからか」
「そう……ね。そういうことだと思うわ。アイドルじゃない自分なんて、今まで想像もしてこなかったもの」

 夏葉が目を伏せた。俺は外れて欲しかった推測が当たっていたことを痛感した。夏葉の戸惑いは、俺の想像よりもはるかに大きく、根深そうだった。

 逆の立場で、もし俺が明日にでもプロデューサーを辞めなくてはならない、となったらどうだろう。当面の金はある。住む場所もある。友人だっている。それでも、胸にぽっかりと穴が空いたような気分になるのは、避けられないのではないだろうか。

「想像、か」
 夏葉の言葉を反芻した。
 俺と夏葉の今後も想像が難しかった。今まではアイドルとプロデューサーでよかった。志を共にし、同じ高みを求め、手を取り合い支え合って進んできた。それだけでよかった。

 しかし、その関係は終わった。あるいは終わろうとしている。ゴールにたどり着いてしまったからだ。無機質な言い方をすれば、関係の賞味期限切れだ。



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