【デレマス】クリア
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1:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:05:50.17 ID:GKexH31W0
ボイスアイドルオーディションをテーマにした短編ssです。
特定のアイドルは登場しません。架空のアイドルと架空のプロデューサーのみの登場なので気になる方はブラウザバックをお願い致します。

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2:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:07:22.43 ID:GKexH31W0

 僕は耳が聞こえない。所謂、難聴ってやつだ。

 突発性難聴。そんな病名らしい。40代から60代に多い病気らしく、症状が出るのは大体は片耳だけで、早期に対処すれば完治できるそうだ。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:07:55.55 ID:GKexH31W0
 そんな時、僕を拾ってくれたのがシンデレラプロダクションだ。遠い親戚のコネを使ってなんとかそこに入社させてもらえることになった。

 新入社員になった僕は、プロデュース部門に配属された。

 最初は先輩のアシスタントがメインだったが、入社してから数年が経ち、僕も担当アイドルを持つことになる。確かその子は俺がスカウトしたんだっけ。正直細かいところは覚えていない。まあ、それほど劇的な出会いじゃなかったってことだろう。それに8年も経ってしまえば記憶は薄れていくというもの。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:08:23.37 ID:GKexH31W0
 昔話が長くなったね。そろそろ今の話をしようか。この話は、そうだな……。俗にに言うとすれば――


5:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:09:05.66 ID:GKexH31W0

『1、2、3、4、5、6、ターン!』

 ポーズが決まる。なかなかに映えているのではないだろうか。まあ8年以上も毎日レッスンしていたらこれくらいになるのは当たり前と言えば当たり前か。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:09:37.94 ID:GKexH31W0
「悪いな。だが、朗報だ」

『なに!? やっとお仕事!?』

 急に表情が変わった。現金なやつだ。ただ、その貪欲さが彼女の推しポイントでもある。らしい。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:10:10.86 ID:GKexH31W0
 事務室に戻って早速エントリーをする。しばらくして、オーディションの概要が転送されてきた。

 一次審査はビジュアル審査か。まあ彼女の得意分野だし、どんなに無名だと言ってもさすがにここで落とされることはないだろう。

 それにしても実際のところ、彼女の評価はどうなんだろう。シンデレラプロダクションは毎年、シンデレラガール総選挙と称して人気投票のようなものを開催しているけど、彼女が圏内に入ったことはないし、他の子と比べようにも、こなした仕事の絶対数が少ないから比べられない。エゴサーチなんかしてもヒットするものはほとんどないし。


8:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:10:38.16 ID:GKexH31W0
『エントリーしてくれた?』

「ああ、戻ってきてたのか。丁度オーディションの概要を読んでたところだ。一次はビジュアル審査みたいだから余裕で突破してくれよ」

『当たり前よ。ところで、○○ちゃんって分かる? その子と合同レッスンしてみたいんだけど』
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:11:08.67 ID:GKexH31W0
 ○○のプロデューサーとは個人的に知り合いだ。というか僕の5年後輩にあたる。5年も下の奴に先を越されているのだから同期内出世レースに参加すら出来ていないのもうなずける。まあ縁故採用の身だから最初から出世なんて期待してなかったけど。

 予想した通り、○○との合同レッスン依頼は通った。さすがに5年先輩の頼みは断りづらかったようだ。スケジュールを調整する時に若干見下されている感は否めなくて腹も立ったけど、珍しく彼女の要望を通せたんだからと我慢した。


10:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:11:41.26 ID:GKexH31W0
 合同レッスン当日、彼女はやけに気合いが入っていた。それこそオーディションの順番待ちみたいな雰囲気だ。

 こういう時は何か気の利いた、リラックスできるセリフでも言えたらいいんだろうけど、それを考えている内に順番が来てしまうのが毎度毎度お決まりのパターン。今日もそうで、何を言おうかと考えている内にレッスントレーナーが入ってきてしまった。

 何を言えば効果的かを教えてくれる、そんなメモ帳でも落ちてないかと願うばかりだ。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:12:27.53 ID:GKexH31W0
 レッスンが終わり、事務室に戻って書類仕事を始めてから数十分が経つと、レッスン着から着替え終えた彼女が戻ってきた。

『……ただいま』

「おう、戻ったか。レッスン見てたぞ。ビジュアルレッスンもダンスレッスンもよかったじゃないか。○○と比べても遜色なかった。これならオーディションも合格狙えるはずだ!」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:13:01.47 ID:GKexH31W0
 ――誠に残念ながら今回はご期待に添えない結果となりました――
 ――貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます――


13:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:13:33.88 ID:GKexH31W0
 ふと甦ってくる、学生時代に嫌というほど送られてきた「メモ帳」。そうか、今僕が取るべき行動は――


14:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:14:10.23 ID:GKexH31W0

 あれからもう1か月が経つ。僕は彼女の担当プロデューサーから降り、当面はアイドル部門の事務員のヘルプをすることになった。彼女とはしばらく会っていない。

 風の噂だが、一次審査は通過したらしい。まあ、もう僕には関係ないことだけど。そういえば後任のプロデューサーは誰になったんだろう。部長に訊いてみようか。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:14:42.51 ID:GKexH31W0
 事務職は思っていた以上に激務で、あっという間に1日が終わる。忙しない生活をしていると月日の流れが速くなる、というのはこの世の常で、知らぬうちに例のオーディションは二次のダンス審査、三次のボーカル審査を終え、最終審査が翌日に控える、というところまで来ていた。

 一応僕も8年間プロデューサーをしていた身だから、誰が合格するのかは気になる。最終審査は公開オーディションになるようだし、明日は休みだから、会場に行ってみよう。確か関係者席がいくつか余ってたはずだ。


16:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:15:09.74 ID:GKexH31W0

 かなり大きい会場だ。最終選考に残った子達とはいえ、さすがにここまでの大舞台は経験したことが無いだろう。事務所の本気度が伺える。ここで合格した子を本気で売り出すつもりだ。

 ところで、この会場に着いて、驚いたことが三つある。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:15:44.48 ID:GKexH31W0
 最終審査は、実際に一人一人が1ステージこなして、全員の出番が終わった後に観客が投票するシステムのようだ。

 1人目のステージが始まった。見事なダンスだ。コンマ1秒のズレさえないように見える。

 2人目。急に漫談を始めた。さすがは何でもありのシンデレラプロダクション。しかも中々面白い。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:16:20.36 ID:GKexH31W0
 103人目。幸か不幸か、大トリは彼女だった。

 彼女のステージが始まる。その瞬間、僕は彼女から目が離せなくなっていた。得意なポージングを中心に魅せつけてくるステージ。

 彼女よりも良いアイドルは今日の102人の中にもたくさんいた。それでも、今日一番輝いているのは彼女だ、と胸張って言えるくらい圧倒された。何故だかは分からない。どう表現したらいいかも分からない。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:18:09.13 ID:GKexH31W0
 彼女の出番が終わった。引き続いて投票時間に入る。

 数分後、アナウンスが入った。集計が終わったようだ。電光掲示板に出された合格者3人の中に、彼女の名前は……


20:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:18:44.16 ID:GKexH31W0

 僕はイベント後の舞台袖の雰囲気が結構好きだったりする。出演者、スタッフが一体になっていた場所がもぬけの殻になって、明かりは非常口の緑のランプだけ。

 あれだけ熱気に渦巻いていた場所がたった数時間でこんな風になるのがおもしろくて、会場の人に注意されるまで居座ったこともあるくらい。

以下略 AAS



21:名無しNIPPER
2020/04/29(水) 22:19:35.50 ID:GKexH31W0
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