あかり「ちなつちゃん、大好き」
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1:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 15:20:11.38 ID:mHiJ1Ddl0
屈託なく笑って好意を伝えてくれるあかりちゃんが好きだった。
あかりちゃんはいつまでも私を好きで居続けてくれるんだって、私はなんの根拠もなしにそう思っていた。
だって、あかりちゃんだ。いつでもいい子で優しくてかわいい、私のお友だち。

――この関係が変わるだなんて、考えたこともなかった。



最初に違和感を感じたのは、少し前のこと。

ちなつ「ありがとう、あかりちゃん。大好き」

いつもみたく結衣先輩とのことについて相談にのってもらって、それがうれしくってお礼を告げた、お泊まりの日のある夜のこと。

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2:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 15:32:02.96 ID:mHiJ1Ddl0
あかりちゃんからも、「あかりも、ちなつちゃんのこと大好きだよ」って、そう返ってくるんだと信じて疑わなかった。
いつだってそうだったから。
眠るために薄ら暗くした部屋の中、ベッドの上を見上げる。返事は中々聞こえなかった。
もう寝ちゃったかな。
ついさっきまで普通にお話していてもそのすぐあとに眠ってしまっているなんて日常茶飯事のあかりちゃんのことだから、その段階では特になにも感じずに、布団の中で寝返りをうって背を向けた。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 15:48:21.35 ID:mHiJ1Ddl0
あの日以降、私はあかりちゃんのひとつひとつの言葉や行動が、なんだかいつもと違うような気がしてならなかった。
小さなものでも、降り積もって行けばあっという間に大きな違和感に変わってゆく。

今だって、そうだ。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 19:21:30.91 ID:mHiJ1Ddl0
――――――
 ――――――

ふたりしかいない茶道部(――の部屋を使って活動するごらく部)の部室は、最初に思っていたよりも広かった。
ひとりとなると尚更だ。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 19:39:30.38 ID:mHiJ1Ddl0
中学校に入学して以来、ずっと同じクラス。おまけにひょんなことから部活まで一緒になって。
最初は部活が一緒のただのクラスメイト。
けれどいつのまにかあかりちゃんは私にとってなんでも相談できてなんでも話せる唯一の親友になっていた。
ごらく部の先輩ふたりが卒業し、私たちが最上級生になった今でもそれは変わらなかった。少なくとも、私にとっては。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 20:08:04.40 ID:mHiJ1Ddl0


あかりちゃん、そろそろ来てるかな。
仕事の邪魔になってはいけないからと、相談を終えると早々に生徒会室を出た。
図書室に寄ってみようかと思ったけれど、私の足はそのまま部室に向かった。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 20:12:39.80 ID:mHiJ1Ddl0
私はね、あかりちゃん。生徒会室に寄ってたんだよ。

言おうとして、結局言わなかった。
あかりちゃんは私がどうして後に来たのかなんて興味なさそうだった。
こっちを向くことも、なさそうだった。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 20:35:00.21 ID:mHiJ1Ddl0
――――――
 ――――――

ふたりで一緒に部室を出た。
もう春は終わり、夏が近づいてきていた。日がずいぶんと長くなった。まだ暮れることのない空をぼんやりと見上げた。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 20:46:41.24 ID:mHiJ1Ddl0
やだな。
私はたしかにそう思っていた。

変わってくあかりちゃん、やだな。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 21:57:00.86 ID:mHiJ1Ddl0
なんでって聞くことも、ましてや聞き返すことすらできなかった。
「ごめんね」と言ったあかりちゃんの瞳はゆらゆらと濡れていた。

久し振りに視線を交わした。
あかりちゃんの目には、どんな私が映っていたんだろう。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 22:14:43.66 ID:mHiJ1Ddl0


大好きって言えば、大好きって返ってくるのが当たり前だと思っていた。
私とあかりちゃん。
いつまでも仲良しでいられるって、そう思っていたのに、な。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2020/08/23(日) 22:15:20.67 ID:mHiJ1Ddl0
本日の更新は以上。
また書ける時に書きに来ます。


13:名無しNIPPER[sage]
2020/08/23(日) 23:14:26.74 ID:48ZzcabJ0
いいぞ


14:名無しNIPPER[sage]
2020/08/23(日) 23:28:14.92 ID:vcNSPTYDO
思春期の苦しさみたいなものが伝わってきていい…


15:名無しNIPPER
2020/08/25(火) 20:59:33.74 ID:3yCcBKwD0
考えれば考えるほど信じられなくて――思えば思うほど、苦しくなった。

ちょっとくらいわがまま言ったって、ちょっとくらい振り回したって、ちょっとくらい困らせたって。
あかりちゃんは私の傍を離れないって。
思い込んでいた自分が、なんだかとても惨めだった。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER
2020/08/25(火) 21:19:42.08 ID:3yCcBKwD0
―――――――
 ――――――――

夢を見た。
まだ、あかりちゃんと出会ったばかりの頃の夢。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER
2020/08/25(火) 22:55:38.13 ID:3yCcBKwD0
いくらあかりちゃんが私のことを嫌いになろうと、私のことを避けようと――
私は、あかりちゃんと友達でいたいって思う。一番でいたいって思う。

それならチーナ、私にできることはなに?

以下略 AAS



18:名無しNIPPER
2020/08/25(火) 23:19:16.22 ID:3yCcBKwD0


翌朝の私はひどい顔をしていたんだと思う。
洗面所で鉢合わせたお姉ちゃんから、「なにかあったの?」とひどく心配されてしまった。
そんなお姉ちゃんに「なんでもないよ」と嘘をついた私は、ふと最後にお泊まりした日のあかりちゃんを思い出した。
以下略 AAS



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