5: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/09/08(火) 21:27:03.56 ID:REk/3TwAO
 「はい?」 
  
 「ここにいる理由だよ。ただの散歩というわけではないんだろう?」 
  
 図星を突かれて言葉に詰まる。まだ実家にいるもののこの辺は別段家から近いわけではないから、理由なしに訪れるなんてない。 
  
 「まぁ……」 
  
 でも、その理由は俺にも正直なところわからない。無事年をとるに従って社畜となってしまった俺が、わざわざ休日にこんなところに来る理由が見つからなかった。 
  
 なのに、どうしてだろう。自然と足がここに向いていた。 
  
 「何かあったのか?」 
  
 「……いえ。ただ、なんとなくですよ」 
  
 「……そうか」 
  
 俺の答えに平塚先生は肯定とも納得ともとれない言葉を返す。そのまま校舎を見上げた平塚先生の仕草に少しだけ違和感を抱いた。 
  
 「じゃあ聞き方を変えよう」 
  
 と、再び先生が俺に向き直る。 
  
 「あれから、何があった?」 
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