白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:01:57.30 ID:6NLLeJ5C0
「……お気に入りのようですね、随分」
 問うと、彼は記憶を当たるかのように呆然と眉を上げ、のち、喉を鳴らし、ストローから口を離した。
「文香? そりゃあ凄く気に入ってるよ。でも、千夜も同じくらい気に入ってるよ」
「ばか。『ラブレ』の話です。ふん、まあ、お前にも倫理はあるのでしょう」

 それだけ言って背を向ける。鷺沢氏を探す時間は、明日のお弁当の献立を立てるのに利用するか、と考えた。まず、アスパラガスとブロッコリーを使わないといけないが、彩りを補うのに何を使おう。人参とトマトではちとせの不興を買う心配もあることだし、片方はウインナーかリンゴか。いっそオレンジを切って、ソーセージと取り合わせるか。《千夜も同じくらい》と言われた時、ちょっと胸に棘が刺さったようだったのは、まあ、低いつもりで高いのが気位、というやつだろう。

「千夜」
 不意に、背中を呼び止められた。
 どうしてだかピリピリと、髪を引かれるような痛みを覚えた。ドアから廊下へ身を乗り出しているらしい彼に、振り向かないまま「何です」と返す。
 
「僕のネクタイさ、新しいんだけど、どう?」
「お前の事だと? 知るか」
 
 
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 
 



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