高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「『あいこカフェ』で」
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34:名無しNIPPER[sage saga]
2021/05/16(日) 14:50:06.48 ID:eE/KPeRw0
「……カフェさ、明日で終わっちゃうね」

「……そうですね。ひとまず、明日で終わってしまいます」

「なんだか寂しいね」

「うん。さみしい……」

「けど、明日もきっと楽しいよ」

「もちろんですっ」

「藍子の、いらっしゃいませ♪ って笑う姿、見てて和むんだよねー……」

「ふふ……。あんまり真面目に言わないでくださいっ。加蓮ちゃんも、変装してやってきた時にはびっくりしましたよ」

「突然だったもんね」

「テラス席にいたから、あまり見ることはできなかったけれど……お客さんに笑顔を見せる加蓮ちゃんも、見ていて笑顔を頂けましたよ」

「そーいうの、あんまり真面目に言わないでくださーい」

「先に言ったのは、加蓮ちゃんですっ」


 ……あぁ、寝転がっても、私達はやっぱりいつも通りだ。
 ちょっとだけ特別な日に、いつものように言葉を交わして、笑って。
 今日は傷つけたりしないから、そこは違うかもしれないけど……。ううん、藍子を傷つけることが……いつものことって言うのも、どうかと思うけどね。そうやって今まで過ごして来たから、なんとも言えないや。


「始まる前は現実味がなかったけど、終わるのは終わるので嘘っぽくなっちゃうな」

「もう何日も、こうしているみたい。加蓮ちゃんとも、こうやって――」

「それは嘘じゃないでしょっ?」

「そうでしたね。……加蓮ちゃんと一緒にいることも……ずっと一緒にいることも、改めて思い返すと不思議なんです」

「そう? 私は……あれっ、私もなんかヘンな感じがする」

「でしょ? でも、不思議に思った後で、もう1回だけ口にすると嬉しく聞こえるんです。ここはカフェで、私は、加蓮ちゃんと一緒にいるの……♪」

「……あはっ。魔女だー」

「カフェの魔女、高森藍子ですっ」

「ついに認めたね?」

「加蓮ちゃんの力をいっぱい抜き取って、どんなちいさな幸せでも、笑顔になっちゃう体にしちゃいますよ〜」

「きゃー」


 当たり前のことを不思議に思って、もう1度、口にしてみると嬉しく感じる――私は藍子と一緒にいて、どれだけの笑顔をもらってるんだろう。幸せな気持ちをもらったんだろう。


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