小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
1- 20
305: ◆bhlju8wMK6[saga]
2025/09/01(月) 21:45:29.49 ID:oEqW1vd60

トール「煩わしい……ですか」

トール’『ああ、そうだッ! 我はもう、此の世の全ての関わりが煩わしい!
     竜との関わり、人との関わり、神との関わり! 血縁・地縁・因縁・奇縁、あらゆる繋がり、全部、全部ッ!』ズァッ

小林「くっ…………!(後ずさってしまいそうな程の、圧倒的な迫力……!)」ジリッ

滝谷(昨日、ファフ君が脅しを掛けてきた時以上の、明確な命の危機を感じる……!)ゾッ

終焉帝「トール……!」

トール’『混沌勢? 調和勢? 魔と神の永きに渡る闘争……? 莫迦じゃないのか!?
     幾百幾千の年月を、ただの殺し合いに費やして……! 良く飽きもせず! 勝手にやってろ、我を巻き込むな!』

トール’『ああああ゛ア゛嫌だ厭だイヤだどいつもこいつも気色悪い、暴れる事しか考えていない癖に傲岸不遜に振る舞う混沌の竜共も、
     独善的な秩序を押し付けてくる神々とそれに卑しく侍る調和の竜共も、さも訳知り顔で高みの見物を決め込む傍観の竜共も!』

トール’『短い命で何処までも行こうと身の丈も知らずに世界を貪り散らかす人間共も、
     隠れ潜んでただ奪い合って惨めに生き延びるモンスター共にも虫唾が走る!』

トール’『力ある莫迦共は口を揃えてそれが使命だ、存在意義だ役割だ、生きる目的だとほざいて、自己の譲れない正しさを主張しながら殺し合う。
     “相手にも同様に譲れない正しさがある事”も想像できない低能というだけだろうに!』

トール’『そんな愚物達が、生前は我に様々な感情を向けてきた。憎しみ怒り蟠り、妬み嫉み羨み僻み恐怖侮蔑憧憬狂信復讐猜疑優越劣等、
     べったりと粘つく黒泥が如き妄念を、ああ手前勝手に不躾に!!』

トール’『全部、全部ッ、全……ッ部嫌いだ! 疾っくの昔にうんざりだッ! 』ゴォッ!

トール「――――っ、全部、ですか……」ビリビリ

トール’『ああそうだとも……全部だよ。そう――利用されている事に気付いていながら目を逸らし、聖女を演じ続ける自己欺瞞の偽善者も!』ギンッ

エルマ「――――っ!」ビクッ

トール’『争いから逃げ、それでいて他者との関わりに未練を残して、みっともなく輪の周りをふらつく様な半端な臆病者も!』キッ

ルコア「――――っ」

トール’『財宝を貯め込みに貯め込んだ挙句、自身の熱を見失い、警戒心だけを残して引き籠り続ける生き腐れも!』ギラッ

ファフニール「………………」

トール’『……親に放任された寂しさを埋めようと非力な手を伸ばしてくる、我が鏡像が如き哀れな仔竜も』ジッ

カンナ「っ!………………」

トール’『――――そして。勢力の長たる事を言い訳に、娘を教え導くのを放棄し追い払った、父親も……!』ジロッ

終焉帝「…………!トー、ル……っ」

トール「――あなた! 本気でそんな事っ――」

トール’『認めぬと? 否定すると? そんな想いは理解できぬとッ? 他の誰でもない、我の紛い物ではないと宣うお前がッ!?』ギンッ

トール「……――――――ッ!」

トール「………………理解は、出来ます。その嫌悪も、憤りも、世界全てへの倦怠も。みんな、私自身が抱えてきたものですから」グッ

トール「けど!! それだけじゃなかったでしょう! なかったはずです!
    長い旅の中で、楽しかった事も、大切だった事も、輝いて見えた事だって、あったでしょう!?」

トール’『ハッ。そういうまやかしの様な事こそが、尚更煩わしいと言っているのだ。振り切ろうとして猶、脳の裏に餓鬼の様に纏わり付いてくる……』

トール’『――ああ、しかし。そうだな、我も莫迦だった。世の莫迦共の下らない争いに態態付き合って、終には命を喪って……。
     畢竟、生きている間には柵む因業を振り払う事が出来なかった』ククッ

トール’『だが、もう違う。死んで、やっと愛想が、未練が尽きた。分かるか? 我は今、正に“自由”を手にしているのだ!』

トール「なっ…………!?」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
380Res/497.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice