小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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346: ◆bhlju8wMK6[saga]
2025/09/05(金) 21:15:52.20 ID:F5wXTSaO0

トール「――えっと、じゃあ次は……」クルッ

終焉帝「!……………………」

トール「えっと……、お父さん、その……」

終焉帝「……私はな、トール。今でこそ終焉帝などと敬われているが……。最初は、ただ殺し合いが他より上手いだけの、竜の一匹に過ぎなかった」

トール「え……?」

終焉帝「殺し合いが上手いから、他より長く生き残り……。
    他より長く生き残ったから、いつの間にか勢力の長など任される様になっただけの……、ただそれだけの者に過ぎない」

終焉帝「私はきっと、相応しかった訳ではないのだ。勢力の長にも、そして父親にも……。これまで間違いばかりを選択してきた様に思う」

トール「そんな事っ! お父さんは私が知る中でも最も立派な――っ!」

終焉帝「――だがな、トールよ。そんな私だが、お前と話して救われたのだ」フッ

トール「えっ――――」

終焉帝「ここに来るまでの道中、お前は言っていたな。時に衝突しても、すれ違って辛い思いをしても、それらも含めて小林殿と同じ時を過ごしたいと。
    辛くても苦しくても、小林殿と共に在れるならどんな時間も私にとって宝物なのだ、と」

トール「は、はい……。その、改めて言葉にされると気恥ずかしいですが……」テレテレ

終焉帝「フフ、そうか。……お前がお前の世界の小林殿と口論をしてこの世界に来た様に、間違いやすれ違いは誰にでも起こり得るものだろう。
    それはきっと、避ける事のできないものだ」

終焉帝「だがお前は、その痛みも、苦しみも、また宝物なのだと言った。その言葉が、どれだけ私に優しく響いたか……」

トール「お父さん…………」

終焉帝「……私も、お前を見習って、歩いていくよ。傷も後悔も、癒えぬままに抱えて……、いや、愛おしく抱き締めながら、前を向いて」

終焉帝「約束しよう。きっとお前にも、同胞達にも……、そしてこの世界のお前にも恥じぬ様に。長として、親として立派に在り続けてみせると」

トール「お父さんっ――、……っ!!」ダキッ

終焉帝「っ! トール……」

トール「――少なくとも私にとって、お父さんは最高の父親です。ええ、どんな並行世界のお父さんでも、それは変わりません」ギュッ

終焉帝「っ……、そうか、ぞう゛が……っ!」ジワッ

トール「ありがとう、もう一人のお父さん――。お元気で」ポロポロ

終焉帝「……っああ゛、元気でな、トール……、もう一人の我が娘よ……っ!」ギュッ




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