結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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778: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:55:08.49 ID:2z6G7I5Go


 独房前の通路で横たわっている二人を見て、土御門は言う。


土御門「……ほんと、大したヤツらだよ。お前たちは」


 土御門は呆れるように笑った。
 視線をボロボロになった通路の壁や天井へ。床のあちこちで転がっているブロックの兵士たちへ。
 一方通行の殺意から解放されて壁に持たれかかるように座り込んだ佐久へ。そして、土御門の他に唯一この場に立っている手塩へと向ける。


土御門「まだ続けるかい? 『ブロック』」

手塩「…………」


 手塩はリーダーの佐久を見る。
 指一本動かせないのか座り込んだまま動いていない。息遣いの音がかすかに聞こえるから死んではいないのだろう。
 だが、これ以上の継戦は不可能だ。
 手塩は、再び土御門を見る。


手塩「これ以上の戦いは、お互い無意味だわ。認めよう。私たちの、負けよ」


 両手を小さく上げ、手の平を見せて、降参の意思を見せる。
 それを見た土御門が持っていた拳銃を懐へ仕舞い込む。


土御門「そう言ってもらえると助かる」


 携帯端末を取り出し、いくつか操作して電話口に喋りかける。


土御門「――こちら土御門だ。目的は果たした」


 それだけ言って端末の画面を切った。さて、あとは後片付けというくだらない雑用をして任務完了だ。
 土御門は次の段階へと行動を移そうとする。
 瞬間、


 ゾクリッ、と土御門は何かのチカラの動きのようなものを肌で感じとった。


土御門(なっ、なんだ!?)


 まだ何かあるのか、と土御門は警戒心を強める。
 視線をあちこちへと持っていき、そして彼はあるものを目撃した。


 倒れている結標淡希の周りを覆うように、淡い白色をした光のようなものがまとわれていた。
 まるで癒やしの光だ、と土御門はそれを評した。
 見ているだけで心が落ち着く。自分が死線に立っていることを忘れさせるような。
 光は次第に少女を包み込んでいき、そして弾けて消えていった。


―――
――






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