51:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:38:40.29 ID:XVB8s0iW0
 2 『人間』 
  
 エーシルは光と闇の戦いに直接介入しなかったが、 
 関心がないわけではなかった。 
 むしろ最終戦争も含めてあらゆる混乱を収めるためにも、 
52:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:39:20.17 ID:XVB8s0iW0
 こうしてエーシルによって構築された混沌界は、 
 新たな生命圏を育んでいくこととなった。 
 まずは結晶化した混沌の中から、 
 エーシルの長子たる『混沌界の神々』が生じた。 
  
53:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:39:47.08 ID:XVB8s0iW0
 そうして混沌界に生命が溢れた。 
 草木が現れ、虫が現れ、獣が現れ、 
 最後にエーシルの次子たる種が生まれた。 
  
 『人間』である。 
54:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:40:14.07 ID:XVB8s0iW0
 待望した次子の誕生、しかし喜びも束の間、 
 その生まれた彼らを見てエーシルはすぐに嘆いた。 
  
 人間は知性種になるはずだったが、 
 生まれてきた彼らには自我が備わっていなかったからである。 
55:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:40:40.43 ID:XVB8s0iW0
 そこでエーシルは自らを裂き、 
 この障害となる悪意を己から切り離すことにした。 
 結果、彼そのものが二つに分離することになった。 
  
 人間の自我を認める「ロキ」、そして認めない「ロプト」である。 
56:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:41:07.97 ID:XVB8s0iW0
 こうして善意を存分に発揮できるようになったロキは、 
 すかさず人間のために大胆な行動に出た。 
  
 己のOMNEの力、観測の権限たる『世界の目』を二つにわけると、 
 それらを人間に授けたのである。 
57:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:41:34.78 ID:XVB8s0iW0
 だがロキは躊躇わなかった。 
 それほどまでに人間を愛していたから。 
 そして『世界の目』が人間に与えられた。 
  
 人間たちは観測しあうことで互いに認識し、 
58:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:42:00.76 ID:XVB8s0iW0
 人間に授けられた『世界の目』の直接管理は、 
 もっとも力があった二つの集団に託された。 
 ルーメン族は「光の右目」を、アンブラ族は「闇の左目」をそれぞれ管理し、 
 この世界の理を担う中心勢力となった。 
  
59:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:42:28.77 ID:XVB8s0iW0
 とはいえ、最終的にはロキも同じ結末となった。 
 ただし彼は自ら選んだものだった。 
  
 人間たちが急速に発展し、知恵と力も蓄え、 
 混沌界を統べられる水準にまで成長したとき、ロキは隠遁を決意。 
60:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:43:09.89 ID:XVB8s0iW0
 こうして「人間界」は、 
 天魔とはまた異なる独自繁栄の道を歩みはじめた。 
 しかしこの繁栄は試練の幕開けでもあった。 
 ロキの隠遁後しばらくして、 
 ついに外界からの干渉が始まったからである。 
61:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:43:59.66 ID:XVB8s0iW0
 10 「魔神」たちと天界の内戦危機 
  
 天界には「ジュベレウス派」、 
 あるいは「主神派」と呼ばれる集団がいた。 
  
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