アンパンマンとばいきんまん
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7: ◆qJX8kuiMZI[sage]
2025/12/05(金) 19:54:29.89 ID:XTeJFan70
一方そのころ……。
ばいきんまんも悩んでいた。

ばいきんまん「うーん、やっぱり謝った方が……いや、おれ様は悪いこと大好き、もちろん放火も大好きばいきんまん! いや、しかし、あんなミスを誇るのは何か違うような……」

再度悪さをしようとばいきんUFOで飛んでいたのだが、その表情は晴れなかった。

ばいきんまん「やっぱり謝ろう。このままじゃ、悪いことをしても気分が悪いままなのだ。どうせなら気分よく悪いことしたいのだ」

ようやく、ひねくれもののばいきんまんも、素直になることを決めたようだ。
悪いことをするために謝る、というのがなんともばいきんまんらしいが。
謝ると決めたばいきんまんはパン工場へと飛んだ。
そしてアンパンマンとジャムおじさんを探して、こっそり近づいたのだが……。

ばいきんまん(うん? ジャムおじさんにアンパンマン? 何をしているのだ?)
アンパンマン「ジャムおじさん、僕ばいきんまんを連れてきて一緒に謝ります」
ジャムおじさん「君が一緒に謝るのかい?」
アンパンマン「きっとばいきんまんは意地になってるだけなんです。本当に放火したくてしただけかもしれませんけど、それでも僕は謝ります」
ジャムおじさん「なんでそこまでしようと思うんだい?」
アンパンマン「ばいきんまんだって僕らの仲間です。それがみんなから敵のように思われるなんて、僕はつらいです」
ばいきんまん(うげ〜! なんつー気持ち悪いこと言ってるのだ。お前なんかに謝ってもらわなくても、一人で謝れるわい。うっ、寒イボが……)
ジャムおじさん「だが、私はこの際ばいきんまんをやっつけてしまうのも手だと思ってるよ」
アンパンマン「そんな、ジャムおじさんまで!?」
ジャおじさん「今回のことは酷すぎる。火をあんなことに使うのは許せないんだ」
アンパンマン「それでも、僕は謝ります」
ジャムおじさん「何故そこまで。やっつけてしまったほうが早いじゃないか」
ばいきんまん(そーだそーだ。やっつけるのがおれ様ってのは気に入らないけど、お前の言ってることの方がおかしいのだ)
アンパンマン「ばいきんまんをやっつけたところで、それで平和になると思いますか?」
ジャムおじさん「? 君はならないと?」
アンパンマン「なるかもしれません。でも、それ以上に悪いやつが現れるかもしれません」
ジャムおじさん「ふむ」
アンパンマン「そいつはばいきんまん以上に悪賢くて、悪事を僕らにばれないようにやってくるかもしれません」
ジャムおじさん「そんなのがいるなら、なおさらばいきんまんを放ってはおけないじゃないか」
アンパンマン「いいえ。ばいきんまんは悪いやつですが、自分より悪いやつは許しません。それだけは信じれるんです」
ジャムおじさん「だから君は、ばいきんまんを倒さないというのか」
アンパンマン「そうかもしれません」
ばいきんまん(〜〜〜〜〜! あ、あいつ……!!)

黙って聞いていたばいきんまんは、血相を変えてパン工場に背を向けた。
情けをかけていたというのか!
このおれ様に!
ふざけるな!!
ばいきんまんの腹の中に、どす黒い怒りの炎が燃え上がった。
しかし、飛び出して行ってばいきんまんは知らない。
この後、アンパンマンとジャムおじさんが会話した内容を。

アンパンマン「……まあ、『倒したくない』なんて言ってますけど、いつも必死ですけどね」
ジャムおじさん「だろうね。分かったよ。カレーパンマンやしょくぱんまんは私が説得しよう」
アンパンマン「ありがとうございます」
ジャムおじさん「私こそどうかしてたよ。多分、火をいい加減に扱われたことで頭にきたんだろうな」
アンパンマン「ジャムおじさんが?」
ジャムおじさん「私だって怒ることはあるよ」
アンパンマン「あはは、そうですよね」

いつもの柔和な笑顔を浮かべるジャムおじさん。
ようやくいつもどおりが戻ってきた、とアンパンマンは安堵したのだった。
もうそんな安堵など無駄だということも知らずに。


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