17:名無しNIPPER[saga]
2025/12/15(月) 02:58:40.67 ID:FdHXE52MO
俯き、破れる程に唇を噛み締める。
夜科に挨拶されても、いつものように拒めば良かった。そうすればこんな事にはならなかった。
どうしてそれが出来なかったのだと、自分を責める。
自分は、どうしてこの場に存在していたのか。
18:名無しNIPPER[saga]
2025/12/15(月) 03:00:36.29 ID:FdHXE52MO
どうすればいいのか分からない。自分がどうしたいのかも分からない。
雨宮が選んだのは、答えを出そうとする事から逃げ出す事だった。
優しくも残酷な選択だった。
悩む事を放棄する代わりに、また新たな自己嫌悪に苛まれる事になる。
19:名無しNIPPER[saga]
2025/12/15(月) 03:04:01.84 ID:FdHXE52MO
困惑する雨宮の腕を握り、夜科は駆けだした。
雨宮「ちょ、ちょっと!!?」
夜科「……」
20:名無しNIPPER[saga]
2025/12/15(月) 03:06:48.57 ID:FdHXE52MO
夜科「嫌な事を引きずるのは、夜までだ。もう終わった日の事を引きずるなんてアホらしいと思わねぇか?朝が来たらオハヨーさん、これでリセットすりゃいいんだよ」
雨宮「……っ」
驚いた顔を一瞬浮かべた後、雨宮の目尻に浮かんだ涙の成分が変わっていった。
21:名無しNIPPER[saga]
2025/12/15(月) 03:12:44.28 ID:FdHXE52MO
くぐもった声で雨宮が反論する。それでもなお夜科は言い切った。
その言葉に堪え切れずに雨宮が俯く。夜科に自分がどのような顔をしているのか悟られないために。
そして、雨宮は何故自分が夜科を拒む事をしなかったのか、分かったような気がしていた。
22:名無しNIPPER[saga]
2025/12/15(月) 03:16:22.72 ID:FdHXE52MO
諦めたつもりでいて、どこかでまだ諦め切れていなかった。
心の扉をどれだけ頑丈に閉めたつもりでも、それが扉である限り扉は開かれる為にある。
雨宮は、あの時に鍵の掛けられた扉がノックされるのを聴いたのかもしれない。
繋がりが作られるのを期待したのかもしれない。
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