685:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:04:03.79 ID:wY4Ppo0AO
ぎりぎりと歯噛みすると、いちごは淡々と口を開いた。
いちご「私は生まれたと同時に人生の攻略本を渡されたの。先が見えたイベント、気が遠くなるような単純な作業の繰り返し。簡単過ぎて退屈で……」
語り始めは淡々としていたものの、声には怒気が含まれてゆく。
686:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:04:33.06 ID:wY4Ppo0AO
唯「──違うだろっ!」
彼女はいちごを強く抱き締めた。
全身の骨が砕け、内臓を押し潰すといちごは血の泡を吹く。
687:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:05:00.16 ID:wY4Ppo0AO
唯「あ……」
この時彼女は初めて動揺した。
どうにかしてやると約束した、その決意が揺らぐ。
憂が右手を翳すとそこを中心に幾何学模様の陣が広がった。
688:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:05:27.42 ID:wY4Ppo0AO
憂が展開した陣と真反対の模様が刻まれた陣が憂の手に重なるように拡がる。
力と力は反発し合い、崩れてゆく。
大気すら震わせる力の奔流は白い光と共に緩やかな風となって鎮まった。
憂「つっ──!?」
689:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:05:56.18 ID:wY4Ppo0AO
和「離れましょう。私達が居たら足を引っ張るだけよ」
皆が無言で頷く中で梓だけが肩を震わせて押し黙っていた。
律「梓!」
690:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:06:25.79 ID:wY4Ppo0AO
律「……私達の覚悟って、何だったんだろうな」
律は拳を作って掌に爪を食い込ませた。
細い指を伝う血はここに居る全員の無念を具現化するように流れ出て、床に落ちた。
691:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:06:55.21 ID:wY4Ppo0AO
紬「唯ちゃんって人懐っこいでしょ。だから独りで寂しい思いしてるときっとわんわん泣いちゃうと思うの。そして次に……」
和「寂しさを紛らわせる何かを見つけようとする。まぁそんなところかしら」
背負った梓の太股の辺りをしっかり支えつつ紬は頷いた。
692:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:07:31.96 ID:wY4Ppo0AO
唯「くそ、いってぇ……」
弾け飛んだ右腕は大方修復されてはいるもののまだ完全ではない。
無傷の右腕の内部では肉が修復されて蠢く。
それには激しい痛みが伴った。
693:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:08:03.96 ID:wY4Ppo0AO
憂はいちごを殺すと宣言しておきながら自分で姉を傷付けて狼狽している。
名前の分からない彼女はいちごに明確な敵意をぶつけて敵対しておきながら決定打を与えようとはしない。
いちご「やれる……」
694:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/14(月) 16:08:34.10 ID:wY4Ppo0AO
服の襟に手を添え、小型のチップの様なものを取り外す。
この物体は先程彼女に電撃を浴びせられた際に破壊されていたのだが、その痕は無かった。
チップの中央の小さな突起を押す。
それに遅れていちごの口角は醜く歪んだ。
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