1:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/13(月) 23:43:45.74 ID:3lTmpGgo
――――そこは、暗い闇の中。
彼女は、ただひたすらに逃げていた。
恐怖を感じているわけではないのだろう。
人形が、恐怖するはずがないから。
「はぁッ、はぁはぁ……」
では、何故足は動き続けるのか。
何故、生き足掻いているのだろうか。
「見ィつゥけたァ」
そして、
暗闇の中から現れたのは、真っ白の歪んだ顔。
咄嗟に引き金をひく。
響く、凶悪な音色。この距離でこの軌道、外さない、外れない。
目の前の怪物は地に伏せるはず。いや、伏せなければおかしい。
「――――っと」
「……っ!!」
しかし、
あり得ない、物理法則を完全に無視した現象。
彼に向けて放たれた銃弾は、彼女の脇腹へと突き刺さったのだ。
思わず片膝をついてしまう。
ここで足を止めることは、即ち死を意味するはずなのに。
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