124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 22:36:38.73 ID:I8qI0aago
小さく光が舞い、ぱちん、と空気が爆ぜる。
「私がアンタを呼び出した意味、分かってる?」
そう、これこそが私の目的。アイツを呼び出した理由。
デートなんてのは後付け設定でしかなくて、私は最初からこうする事しか考えてなかった。
「ここなら周りに迷惑かかんないし、いいでしょ」
思えば初めて会ったあの時から私はアイツに惹かれていたのかもしれない。
あの日、あんなバカみたいな状況にいきなり割り込んできて、そのままずかずかと踏み込んできたアイツ。
事あるごとに私の前に現れ、その度に私の心を引っ掻き回していったアイツ。
私がバカやりそうになったあの瞬間、私の前に現れて説教してくれやがったアイツ。
平手とか生易しいものじゃないのを甘んじて受け止めてまで諭してくれたアイツ。
それ普通は立場が逆じゃないってのに泣いてる私に笑ってくれたアイツ。
あの最悪に徒手空拳で真っ向から啖呵を切って、その上とんでもない事に殴り飛ばしやがったアイツ。
多分、最初から。でもあえて言うなら、あの日。
あの時の私はきっと悲劇のヒロイン病に酔っていて、勝手に自分に都合のいいストーリーを描いていた。
「私一人が犠牲になれば」とか「これ以外に方法がない」とか勝手に決め付けて、それが正解とも上手く行くとも限らないのに。
とても傲慢。私は自分の筋書き通りに事が進んでくれると思い込んでいて、他の全ての人たちの意思をないがしろにしていた。
そのまま死んでいたらさぞや清々しかっただろう。
自己陶酔に塗れたままに私が主人公の物語は悲劇的に幕を閉じる。『全米が泣いた』とか煽り文句をつければ完璧だ。
そんな自分に酔った私を叩き起こしてくれたのはアイツだった。
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