125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 22:42:40.32 ID:I8qI0aago
まるで子供騙しなお話のヒーロー。
お陰でそれは悲劇じゃなくなってしまった。主人公は私じゃなくてアイツ。
それにご都合主義ならアイツの方が何枚も上手だった。なんたって文字通りの最強を素手で殴り飛ばしてしまったのだから。
アイツのお陰で私の晴れ舞台はぶち壊し。主役の座まで持っていかれてしまった。
126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 22:48:50.30 ID:I8qI0aago
やっぱりこういう展開じゃないと締まらない。
私とアイツの関係は、結局のところ犬猿の仲って奴。私がこうしていちいち食ってかかってるだけなんだけどさ。
その時のアイツの顔は本当、笑っちゃうくらい間抜けで。
その後の台詞も容易に想像できてしまった。
127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 22:55:24.50 ID:I8qI0aago
「勝負してくれないと、これ返さないからね」
私はアイツに借りた上着の裾をひらひらと示す。
理由付けには弱すぎるとは思うけど、きっと名目くらいにはなる。だから。
128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:00:29.25 ID:I8qI0aago
「言われなくても――」
ばちん、と空気が悲鳴を上げた。
先ほどよりも大きな、眩い閃光が生まれる。
129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:05:33.04 ID:I8qI0aago
「……は? 何?」
呟くアイツの目の前で舞い上がった砂鉄は私の手元に集まり一直線に棒状を形作る。
「ちょっ……! オマエ、得物使うのはずるいんじゃない!?」
130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:10:08.63 ID:I8qI0aago
「って、どう考えてもそれじゃ済まないと思うんですけどっ!?」
うん、私もそう思う。
でもどうせ効かないじゃん。
131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/01/26(水) 23:16:11.25 ID:CH6x2odT0
これはあれか、記憶喪失を知っててあえて再現していると
132:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:16:12.98 ID:I8qI0aago
だけど。
「くっ……!」
アイツは回避しなかった。
133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:18:50.56 ID:I8qI0aago
「オマエ……風に乗った砂鉄まで……!」
何を驚いているんだ。
私の能力は電流や、そして磁場を操る事で、アイツの目には見えない磁界や電磁波が辺りを取り巻いている。
134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:20:59.30 ID:I8qI0aago
ああ、やっぱり。アイツには敵いっこないんだ。
だってアイツは無敵のヒーローで、私程度の小娘にどうにかできる相手じゃない。
135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 23:25:16.27 ID:I8qI0aago
ああ。ああ、ああ――。
やっと私はこの手の中にアイツを捕まえられた。
びっくりした? こんなの台本にないもんね。
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