162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:59:56.32 ID:Vac5WSOJo
アイツの瞳に映る私はどんな顔をしていただろう。
アイツはしばらく私の顔を見ていて、ゆっくりと目を瞑り、しばらく何かを考えた後、またゆっくりと目を開いた。
アイツはなんだかとても真剣な表情で、でも私にはなぜだかどこか悲痛なものを堪えているように思えた。
163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/01/29(土) 21:16:04.51 ID:XNZDEY1Lo
今日の分は終わりかな?乙
美琴健気だなあ……続きが気になる
164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 21:40:10.91 ID:Vac5WSOJo
辺りはすっかり夕日の色に染まり、なんだか世界が燃えているようだった。
公園に茂る木々の上から覗くビルの屋上で風力発電のプロペラが回るたび、きらり、きらりと光を反射して輝いていた。
左手が持つレモネードの缶はもうすっかり冷めてしまっている。
165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 21:45:09.88 ID:Vac5WSOJo
「いいよ」
私は左手に持っていた缶をベンチの上に置き、右手を握るアイツの手に重ねた。
「お願い。胸を張って。アンタは何一つ悪い事なんてしてないじゃない」
166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 21:50:20.42 ID:Vac5WSOJo
「私は言い続けるよ」
ハリネズミは触れてしまえば確かに痛みを伴うだろう。
でもね。一人じゃあまりに寂しいよ。
167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 21:55:09.99 ID:Vac5WSOJo
「何回言っても足りないよ」
さっきから声が震えて仕方ない。でも言葉が止まらない。
「私に恋をさせてくれて、好きな人になってくれて、ありがとう」
168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 21:59:52.48 ID:Vac5WSOJo
その時のアイツは、なんだか言葉にするのももったいなくて。
一瞬呆然として、
それから苦しげに眉をひそめて、
痛みを堪えるように目をぎゅって瞑って、
169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/01/29(土) 22:15:06.95 ID:vkNVYh4AO
野生のかまちーがいると聞いて
170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 22:15:19.89 ID:Vac5WSOJo
どれくらいそうしていただろうか。
アイツは私の肩を押し体を離し、顔を上げた。
「……悪い。服、汚しちまったな」
171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 22:20:09.34 ID:Vac5WSOJo
それから少しだけ無言のままお互いの顔を見ていた。
もう辛そうに見えないのは演技なんかじゃないと思っていいのよね。
「辛い時は教えて。苦しい時は頼って」
172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 22:25:15.59 ID:Vac5WSOJo
「えっと……」
どうしてか視線を逸らしてしまった。
……おい。待て。
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