33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/02(水) 03:28:05.13 ID:xCJ53iVR0
誰かのたちの悪い悪戯、という先生達の結論では好奇心旺盛な女子高生の心を満足させる事はできなかった。
「絶対何かの呪いだって、アレ。その場にいた子の中に、変な痣が体に浮かび上がってきたって言う子もいるみたいだし」
「えーっ、なにそれ、マジ怖くない? あっ、そういえば、あの木ってさぁ――」
あること無い事、尾ひれが付いた噂はどんどん広がっていった。
妖しげな悪魔召喚の儀式だとか、恋愛成就のオマジナイだとか、オカルト研の研究の一環だとか、一個人の恨みによる犯行、等など。
しかし、私は知っているのだ。
事の真相を。
アレは間違いなく、唯先輩の仕業だということを。
けれど、それを口にすることはできなかった。
その理由は言うまでもない。
「憂? どうしたの、具合でも悪いの?」
「えっ? ううん、大丈夫だよ」
「そう? ならいいけどさ。それにしても、みんな、やっぱり怖い噂が好きなんだねぇ。今日なんか、もう5回は聞いてるよ、例のセミの話」
「そうだね」
「噂話聞くくらいならまだいいけどね。私なんか、部活の練習中にあの光景思い出しちゃってさ……ううぅっ、気持ち悪い」
そして、憂も見たはずだ。
独特のネーミングセンスで記された、あのアイス棒の墓を。
『お墓遊びだよ。死んだ生き物の名前をアイスの棒に書いて、お墓作るの。皆もやったよね?』
唯先輩でさえ覚えている事が、憂の思い出から漏れているはずがなかった。
きっと憂はあの悪戯の犯人が唯先輩だと考えているに違いない。
そして、私と同じくそれを公言できないでいる。
だって、言えるわけないじゃん。部活の先輩があんな気味の悪い事をしただなんて。
……。
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