5:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 15:52:45.04 ID:2rhgDyLL0
私と涼宮さんの意思が、言葉と同意とで繋がろうとした。瞬間、空が入れ替わった。灰色の濁りが全天を覆った。
全員が表情を一変させた後、直ぐに涼宮さんと古泉君だけが眉を引き締めた。
「どういうことかは、全く判りかねますが-----」
「北高に行きましょう。有希、朝倉さんを呼べるかしら」
私が携帯電話を取り出すと、それを制止する人がいた。
「その必要は無いわ。呼んでも出ないもの」
私たち全員が声のした方を向くと、ショートカットの少女がくつくつと音を鳴らし笑っていた。
「あんた何? 見も知らない奴に忠告される覚えは無いんだけど」
「くつくつお互い害意があるわけでもなし、仲良くやりましょう。やっぱり涼宮さんは、どこでどうしていても涼宮さんね。
その部室に居るはずの待ち人はもちろんあの彼。けど、彼は用事ができてしまって・・・というか、元々用事がある予定だったのに自分だけ関係ないと思いこんでいたのね。だから、ここにいる私が代理なの」
「ということは、貴方はあのジョンさんの」
古泉君が話しかけると、彼女は一転して少年の口調になった。
「っくく、ジョンって言うのはあのいつも気怠そうな彼のことでいいのかな? くつくつ、くくくくく。なるほど、その呼び名を彼が教えてくれなかった理由も分かろうものだ。
過去で出会った涼宮さんにまさか本名で名乗るまいとは思っていたが、未来人といえばジョンなんていうのは多少どころか過分に安直だろうに」
「ちょっと待って。ジョンを知ってるの?」
それは当然の問いだった。彼が私たちの前から消えてから奇妙なことに-----彼はその痕跡の殆ど一切合切を消失させていたのだから。まるで、最初からそこにいなかったかのように。
「ねぇ、君はそれで、一体誰なのっさ?」
鶴屋先輩が疑問の声を上げる。当たり前だ。彼女だけが、殆ど彼と接点を持っていなかった。鶴屋先輩はあまりに奇妙すぎる彼の消失について朝比奈先輩から聞き、そして彼を単なるたちの悪い後輩とも思えなくなったため、朝比奈先輩と共にまた彼が帰ってきたらということで団との親交を保っているのだ。彼を邪険にしすぎたかな、という反省の意もあってのことだそうだ。
よってあまり詳しいことまで知らせているわけでもなく、むしろ涼宮さんなどにしてみたら遊び仲間といった方が正しいくらいだろう。
少女は未だ声を上げずも笑いつつ、宣った。
「ああ、彼の親友だよ。何だったら、彼に習ってメアリー・タイターとでも名乗ろうかな?」
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