過去ログ - アスカ「私なりの愛ってやつよ」
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13:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:38:30.41 ID:nYXsbXrS0
 冬月副司令から言い渡された任務はこうだ。

 最近めっきり出勤してこない不良職員がいるらしい。自宅へ行って、NERVへ連れて来いというんだ。

 組織にとってなんの益も生み出さないような男をクビにせず、僕ばかりこき使うなんて
ひどい差別というほかない。
 ブツブツと文句を垂れながら、僕は不良職員の所に向かった。

 彼は僕の住むコンフォート17の隣近所に住んでいて、名前を加持リョウジと言った。

 謎めいた人物であり、社会人らしくない。部屋にいるのかいないのか分からない。

 在室と睨んでドアを開けてみたら、ネコが部屋をウロウロしているばかりで、
本人はどこかに消えていたりした。

 よれよれな白いシャツの袖を肘までまくりあげ、無精ひげがぼさぼさに伸びている。
髪は台風が通り過ぎたようにもしゃもしゃ、手入れをする暇がないといったように、後ろで一つに
束ねている。年齢不詳で、おっさんかと思いきや、大学生のような幼さも垣間見える。

 目立つ容貌をしているから外出先で見つけるのは簡単だけれど、接触を図ろうとすると
煙のごとく消えうせるんだ。

 ある深夜、屋台ラーメンでようやく捕えた。

「前から俺の回りをうろついているね」
 とにこやかに彼は言った。

「行こう行こうと思っていたんだよ。でも俺は他の用事で忙しくってね」

「出勤日数は大幅に足りないんですからね」
 僕は釘を刺した。

「うん。分かってる、もう諦めるよ」

 僕たちは一緒にラーメンをすすった。
 その人物の後にぴったりくっついて、彼の部屋に戻った。

「ちょっとトイレに行ってくる」
 と彼は言い、トイレに入った。

 しばらく待っていたけれど、中々出てこない。
 しびれを切らしてトイレに踏みこむと、もぬけの殻だった。
 トイレに備え付けの窓から外を見てみると、彼は悠々と道路を歩いてる。
 神業だ。

 その日以来、僕は何度も彼の部屋に行き、ドアをドラムのように叩いて
「加持さん」
と呼んだけれど返事がない。

 人を馬鹿にしていると思った。
 そうやって暴れているうちに、当時はまだ相棒だったアスカがやって来た。

「ごめんなさいね、この人は私の師匠なのよ」
 アスカは言った。

「この人は大目に見てあげてよ」
 彼女は下手なウインクでお茶を濁そうとする。

「そんな訳にはいかないよ。副司令の命令なんだよ?」

「無理よ。この人が司令たちの言う事を聞くなんてありえないわ」

 アスカがそこまで断言するのであれば、僕も引かざるを得ない。

 いったい何の師匠なのか分からなかったけれど、
 アスカのような女が尊敬しているのだからろくな人間ではないだろう。

「師匠、こんばんは。差し入れよ」
 アスカは僕を尻目に加持氏の部屋へ上がりこんだ。


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