26:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:46:51.14 ID:nYXsbXrS0
良く見るとメガネケースのように見える。
彼女は別段、目は悪くないはずだ。
誰かの持ち物なのかな。
僕は単純な好奇心から、彼女に訊ねた。
27:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:48:29.24 ID:nYXsbXrS0
元の世界に戻ってから、父に言って欲しい事があると、伝言を預かる事になった。
母は僕の耳に手を当て、ぼそぼそと伝言を伝える。
それを聞いた僕も、ニヤリと笑みを浮かべた。
28:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:49:01.21 ID:nYXsbXrS0
対岸の壁面に、赤くて汚いスルメのようにわだかまっているものがある。
あれはアスカじゃないか。
彼女は手足をばたつかせ、水に流されまいと溺れていた。
欄干を人々がびっしりと埋め尽くし、
29:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:49:56.77 ID:nYXsbXrS0
芦ノ湖のほとりには、大勢の人がウロウロしている。
二号機が暴走したのも相まって、相当の騒ぎになった。
人混みの中に冬月副司令の姿を見たような気がして僕は怯えたけれど、
もはや怯える理由は何もない。
30:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:50:34.88 ID:nYXsbXrS0
だから手短に済ませるよ。
碇司令と加持師匠は昔から小競り合いを続けていた。
今年の一月、愛車を桃色に染められた加持師匠は手下のアスカに報復を命じた。
そこでアスカは碇司令に一矢報いるために、ユイさんを盗み出した。
31:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:51:08.85 ID:nYXsbXrS0
続々と集まる関係者たちの手から持ち前の逃げ足の速さで辛くも逃れつつも、ついにアスカは芦ノ湖へ
追い詰められ、行き場を失って欄干へ飛び乗った。
その挙げ句、彼女は欄干から湖に落ちて骨折した。
32:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:51:40.89 ID:nYXsbXrS0
僕とアスカは境遇が似ていた。
同じように母をヱヴァに奪われた僕に対して、親近感が湧いたのかもしれない。
やたらと僕に構うのも、そのせいだったのかな。
意識のない僕をエントリープラグへ沈めて、わざと起動を失敗させた人物がいる。
33:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:52:38.18 ID:nYXsbXrS0
「やあ、大丈夫?」
僕が声をかけると、彼女は弱々しい笑みを浮かべた。
「人ごみに揉まれて、ふらついてしまったの」
なるほどそういうことかと思った。
34:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:53:19.68 ID:nYXsbXrS0
「それで!」
父は叫んだ。
「それで?さっき伝えた通りだよ、父さん。母さんは戻って来るんだ。サードインパクトを防げれば」
35:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:53:54.51 ID:nYXsbXrS0
ユイさんとは、母さんをそっくりそのまま蘇らせたような姿だ。
僕は知らなかったとはいえ、魂こそ無いものの、母さんと数日間同居したことになる。
なんだか複雑な気分だった。
○
36:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:54:28.63 ID:nYXsbXrS0
僕はため息をついた。
「ねえ綾波。アスカは敵が多いから、しばらく身を隠した方がいいと思うんだ」
「そう」
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