過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」3
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1: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:06:16.85 ID:j/+2kGnd0
―…***…―
雨が降る直前の空気が好きだった。
鉛色の息苦しくなるようなどろどろとした空。
アスファルトが微かに蒸されるような、独特の香り。
髪が湿っぽくなり、肌に張り付くような感覚は決して良いことなど無いはずなのに。
それでも自分は雨が降る直前の空気が好きだった。
あえて理由を考えてみる。多分ではあるが、一つだけ思い当たる節があった。
それはきっと、わくわくするからだろう。
雨が降り出す瞬間。
空が、空気が、風が、道路が、道行く人々が、瞬く間に色を変えていく。
リズムを叩くように降りしきる雨粒の音。
雨に染まり、藍色から黒に染まっていくアスファルト。
跳ね返った雨が視界を塞ぎ、霧状の雨は街の輪郭を曖昧にしていく。
傘を忘れたと、頭の上にカバンを置いて駆け出す学生達の慌ただしい姿。
お母さんに買ってもらったと、口々に言いながら嬉しそうに色とりどりの傘を差す幼い女の子達。
音が増えたはずなのに、喧騒が大きくなったはずなのに、雨が降り始めると街が少し息を潜めている気がする。
その変わり様を自分は楽しんでいるのかもしれない。
―…***…―
2: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:08:34.61 ID:j/+2kGnd0
煙草を一本吸い終えて、一方通行はパン屋の店先、テントの下から本格的に降り出した空をぼんやりと眺める。
3: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:09:27.73 ID:j/+2kGnd0
「ちょっと入れてね」
「ン」
4: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:10:46.00 ID:j/+2kGnd0
「久しぶりだね……あくせられーた」
「ああ……久しぶりだな……インデックス…」
5: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:11:24.67 ID:j/+2kGnd0
「とーまにもう一度、本当は考え直してもらおうって思ってたの。捨ててしまったものを見つめなおしてもう一度って。
でも、送り出してから凄く恐くて仕方が無かった。イギリスに行った頃はあんなにとーまが来るのを嫌がってたのに…寂しいけれど、本当に来ちゃいけないって思ってたんだよ。
6: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:13:33.65 ID:j/+2kGnd0
「オイ」
7: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:14:17.32 ID:j/+2kGnd0
「あくせられーたは今幸せ?」
8: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:14:50.13 ID:j/+2kGnd0
9: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:15:27.50 ID:j/+2kGnd0
囁かれたハスキーボイスがあまりに優しく、甘く響いいたせいだ。
一方通行らしからぬ柔らかい声に導かれるようにインデックスは隣に立つ男の横顔に視線を向けた。
10: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/04/19(火) 01:20:52.40 ID:j/+2kGnd0
―…***…―
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