20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/05/22(日) 22:58:44.99 ID:LrbQxZtRo
 御坂の言葉に彼女は目を細めた。 
  
 「いいの?」 
  
 と彼女は尋ねる。 
  
 「現実なんて本当に、どうしようもなく最悪な代物でしかないわ。 
  それは誰しも同じ事。結局、都合の悪い事から目を逸らして生きるしかない訳。 
  違うと言える? どんなに酷い真実がそこにあったとしてもアンタは直視できるの?」 
  
 「…………」 
  
 彼女の言葉に御坂は少しの間沈黙する。 
  
 この言葉が真実だとすれば、そこには相当の事実が隠されているはずだ。 
 見るだけで目が潰れ心が折れかねない最悪の深淵。 
 覗き込んでしまえば真っ逆さまに転落するしかないような、どうしようもない不幸な出来事。 
  
 けれど、だとしても。 
  
 そんなどうしようもない事実に直面しても[禁則事項です]は――。 
  
 「っ――」 
  
 「無理しないのって。こっちだってアンタが思ってるほど万能じゃないのよ。 
  ピンポイントで抑えて加減するのかなり難しいんだから。あんまり無茶すると脳が焼き切れるわよ」 
  
 一歩間違えれば廃人化してしまうと彼女は平気な顔をして言ってみせる。 
 実際御坂が抵抗できるのならば力は拮抗している。それを無理に捻じ伏せようとすれば負荷が掛かるのは当然だ。 
  
 なまじ力が強い者同士その力は莫大なものといえるだろう。 
 薄氷を踏み歩くようなその拮抗のバランスを調整し続けている彼女の力はやはり本物なのだろうが――。 
  
 「……それでも」 
  
 御坂は無意識の内に唇を噛みながら小さく言った。 
  
 「私は、現実に生きてるから」 
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