982:LX [saga sage]
2013/01/04(金) 00:45:06.62 ID:JCikDjuT0
美鈴は娘の感情を目敏く読みとったのだろうか、「当麻クン?」とまた彼を呼ぶ。
「は、はい?」
「ちょっと、あの子たちの様子見てもらってきてもいいかしら?
いつもはね、二人がかりで一麻クンを遊ばせてるんだけど、今日は一人でしょ?
それに、一応公園デビューもしてるんだけど、あの子、まだちょっと不慣れみたいだから、御願い出来るかな?」
美鈴は一瞬美琴をチラと見て、当麻に話しかけた。
当麻はチラチラと妻・美琴の顔を見るが、彼女はそっぽを向いている。
「そういうことだけど、いいかな?」 当麻は恐る恐る、と言う感じで妻に了承を求める。
「さっさと行ってくればいいでしょ? 自分の子供なんだし、遊んであげなさいよ?」 視線を合わさずに彼女は答える。
――― すいません、公園の場所教えて下さい ―――
――― ちょっと待ってね、ケータイの地図出してくれるかな? ―――
――― えっと……ここは、と ―――
二人が話を始めたことで、美琴は急須を持ってポットのところへ行く。
(滅多に会えないのだから、今くらいはいいか、子供には会いたいだろうし)とは思うのだが、どこかやはり面白くない、という気がする美琴だった。
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「怒ってるの?」
「別に」
当麻が公園へと出て行き、残ったのは母と娘。
並んで座っている二人はようやく本音の話を始めることが出来た。
「上条さんも寂しいのよ。一人って、たまに無性に寂しくなる時があるのよ」
「……」
「結構頑固なところがあるのよね、上条さんも。上条クンもそういうところ、あるよね?」
「……うん」
「上条さんはね、悪い人じゃないわ。でもね、結構怒ると怖いし、結構覚えてる方だし。そこだけは気を付けたほうがいいかな」
「うん。頑張る」
すると、母は娘の身体を引き寄せ、
「ううん、そんなにしゃちほこ張らなくてもいいのよ? 自然体で行きなさい。
美琴ちゃんはね、ちょっと自分で抱え込む癖あるからねー、まずは彼にぶちまけなさいな。彼は全部受け止めてくれるから、そうでしょ?」
うん、と美琴は頷く。
でも、と彼女は思う。その肝心要のアイツもまた、なんでもかんでも自分一人で抱え込む問題児なのだ。
私たちって似たもの夫婦、なのだろうか、と彼女は思う。
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