1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2011/07/28(木) 23:14:27.31 ID:cERe2Nkx0
一方通行の目の前には、地獄の門がある。
あまつさえ、彼はその鍵をも保持している。しかし、それがかの原典をも畏怖させる、狂気と悪夢に満ちた欲望の遺物であることを知らない。
だからこそ、その鍵を駆使して禍々しきその門を潜り抜け、閻魔の待つその地へと続く黄泉の坂へと立ち入る意思をも持っている。それを阻むものは無く、あれど不幸なことにころとに、やはりここに無い。
鍵をさしこみ、回す。
かけらの抵抗も無く、すとりと錠が上がり、立ちふさがるとびらが、すっと力を抜く。
ノブに手を掛け、わずかな抵抗を感じつつ回す。
引く。
きり、と無理やり染み出したかのような、かすかなかすかな音を立て、地獄への道が開かれる。
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2011/07/28(木) 23:14:56.99 ID:cERe2Nkx0
その道は、柔らかな照明が溢れている。暖色で纏められたマットや壁紙には、きっと心をこめて選んだのであろうと思わざるを得ないような、愛情や慕情が感じられた。それはいささか過剰にも思えたが、まあ悪くは無い。
その”愛情”に向け、一方通行はぶっきらぼうに呼びかける。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2011/07/28(木) 23:15:32.81 ID:cERe2Nkx0
キッチンに入ると、すでに食事が用意されている。サラダや汁物、飲み物やご飯と共に、コロッケが二人分テーブルに置かれていた。この量の料理を、この小さい少女が一人で作ったわけではないだろう。彼女にはその知識も無ければ、経験も手際も無い。
「番外固体は今日はいねェのか?」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2011/07/28(木) 23:16:09.11 ID:cERe2Nkx0
「いただきまーす!」
「・・・おい、頭巾取れ。行儀悪ィだろ」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2011/07/28(木) 23:16:38.28 ID:cERe2Nkx0
それを聞いて、少女は傍目にもわかるほど旨を撫で下ろす。
先ほどは「食えるのか?」なんてことを言ったものの、実際のところこの料理はそんな壊滅的なものではないだろう、とは思っている。見た目は変ではないし、たぶん結構多くの部分を番外固体が手伝っているだろう、という予測もあった。少女が料理をし始めたのはごく最近だったし、先ほどまで彼女が居たと、少女が言っていたからだ。
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