68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 19:43:01.02 ID:c+5+k8k3o
夢中になってサトウキビをかじっていると、
「私たちも、伝令に行った先でいきなり解散命令を受けてさ……ひどい話だよ。
ところで、ムギは?他のみんなは?唯ははぐれちゃったのか?」
りっちゃんが、私の顔を覗き込むようにながめます。
ガリガリとかじっていた私の口が、固く閉じました。そして、
「………解散命令のあと、米軍が来て、壕が攻撃されて、ガス弾が投げ込まれて、みんな、みんな……」
その続きを、どうしても言うことが出来ず、私は黙ってうなだれました。
澪ちゃんが眉間にしわをよせて、噛みしめるように確かめます。
「死んだ、のか……?」
こくり、と、私は小さくうなずいたのです。
沈黙の中で、激しい砲声がとどろいていました。
「とにかく、北に向かって国頭に突破しよう。このままじゃ私たちも……」
りっちゃんの言葉で、私たちは、山城の丘を越えることにしました。
ドトン。ドズン。
艦砲や爆弾がこれでもかというほど降ってきて爆発し、破片と土砂が雨あられのように飛び散ります。
「伏せろっ!」
澪ちゃんの言葉に、急いで茂みに伏せると、強烈な腐臭とともに、グシャリと柔らかい感触がしました。
腐乱した死体の上に伏せてしまったのです。
(うぅぅぅっっ!)
しかし、気持ちが悪くても、命には替えられないのでじっとしていました。
ひゅるひゅると矢のような音を立てて飛んできて、手を伸ばせば届きそうな距離にドスンと落ちる破片。
走っている時間より、伏せたり茂みに隠れている時間のほうがずっと長かった気がします。
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