108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/05(月) 01:01:36.83 ID:wbDVTs5Go
嫉妬、羨望、敵愾心。
あんな奴がいなければ、という気持ち。
彼はようやく気付く。日陰者がおこがましいと自分で思うが、彼はヤマトをライバル視していたのだ。
負けたくないと思っていた。でも勝てなかった。だから諦めて不貞腐れた。
誰も相手にしてくれなくなった。もっと不貞腐れた。
ヤマトはどんどん先に進んで、彼はそれでも不貞腐れたままで、そうした過去の地続きで――彼は今ここにいる。
ヤマトがいなければ、彼の人生はまったく別の方向に進んでいたかもしれない。
でもそれがなんだ? そんなのは当たり前のことだ。登場するはずの「誰か」がいなくなれば、どんな人間の人生も色を変えてしまう。
登場人物が足りなくなれば物語はまるで別の結末へと繋がる。それは当然のことだ。
「誰かがいなければ」。無駄な思考だと彼は思った。
熱に浮かされて思考が空転している。けれどどうしてだろう。普段よりもよほど有意義な思考ができているような気がした。
とにかく俺はやるしかないのだ、と彼は思った。
そう思うと、全身の力がすうっと抜けて、今度こそ彼は眠りの中へ落ちていった。
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