14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:16:59.66 ID:vDKXf2v5o
医者は彼に、どうして薬を飲んだのかと聞いた。彼は嘘をついた。誤って飲んだんです。飲んだら、どうなるのか、知りたかったんです。
医者はそれを信じなかったが、彼にはそんなことはどうでもよかった。あれは脳に作用する薬なので、二度とこのようなことはしていけない、と医者は言った。
また、医者は彼に、カウンセラーに会ってみないかとも言った。
どうでもいいことだったが、自分の心の動きを推測され、もっともらしいことを言われるのは据わりが悪いと思い、断った。
見舞いにきた家族は、彼に何を言えばいいのか分からず、ひどく戸惑っていたのだろう。結局、日常の延長のような世間話をするだけだった。
数日後に退院してから、彼はまたもとの生活に戻った。何の意味もない行為だった。けれど入院中は、あの恐ろしい不安はやってこなかった。
彼はまた数日すると、すべてが空しく感じられたが、薬はもう二度と飲まなかった。確実に[ピーーー]ないことが分かったからだ。
量を増やしたところで、吐きだしてしまったら意味はない。鍵をかけてしまえばあるいは、とは思うが、それでもどうなるかは分からない。
どう作用したのかは分からないが、彼はその少し後、一応は明るさを取り戻した。
何の思考も襲ってこなかったし、小説は以前よりも面白く感じられた。くだらないことでも、なんだか笑ってしまうようになった。
両親は、一度危険なことがあったからか、彼の生活になんの口出しもできなくなった。
また、多少はかつての快活さを取り戻した彼に、このままいい方向に動いてくれればという期待もあっただろう。
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