15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:18:58.73 ID:vDKXf2v5o
 一旦切る 
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:24:10.50 ID:S3WR3zbTo
 まあ、一般的な学生には伝わるんじゃないかな 
 >>1てst乙 
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:41:40.46 ID:vDKXf2v5o
  
  それも誤りだった。彼は結局、そのまま停滞した日々を過ごした。多少外に出ることはあっても、結局一日の大半を部屋の中で過ごす引き籠もりに。 
  そして実に二年近い歳月を、ただただ無為に消費し続けたのである。この事実を振り返るたびに、彼は重苦しい気持ちに襲われる。 
  この二年で、自分と同じ歳のものはどんどんと先に進んだはずだ。その流れの横に、自分は置き去りにされている。 
  
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/08/28(日) 18:44:18.94 ID:28mS+GzAO
 テストなら、乙がついても良いはずだよね 
  
 1乙。 
 内容についても触れてみる 
 この話の彼ほどじゃないけど軽く籠っていた経験のある人間には、ひどく見につまされる 
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:47:57.39 ID:vDKXf2v5o
  
  そんな屈折した思考にとらわれながら、彼はそれでも死のうとは思っていなかった。それどころか、どうすればいいかをひたすらに考え続けていた。 
  思考が何ももたらさないと知っている人々は、まず行動を起こすことが肝要だと口々に言うが、彼はそう気付くには若く、幼すぎた。 
  
  姉はバイトをすることを勧めた。とにかくなにかをはじめて見てはどうかと言うのだ。 
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:55:03.60 ID:vDKXf2v5o
  
  このままではいけない、と彼は考えている。 
  日々の中でその考えを思い出すことはほとんどなかった。それは不意に現れては、彼の心に小さな傷をつくって消えていく。 
  彼は堂々巡りの思考をやめて、何も考えないことにした。そうすると今度は、時間が流れていくことを不安に思った。 
  
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:58:50.39 ID:vDKXf2v5o
  
  季節の変化に疎くなった。日々の中で楽しいと思えることがなくなった。実感できるような自分の成長がなくなった。 
  感情を表現することが難しく感じるようになった。窓の外の景色を、風景画か何かのように認識することになった。 
  昼間、外に出ることが怖くなった。他人からどう見られているかが異常に気になるようになった。コンビニのレジに並ぶことすら億劫だ。 
  
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 19:05:25.54 ID:vDKXf2v5o
  
  姉や母が、そういった張り紙をしている店を教えてくれることもあった。何の文句も言わず、穀潰しでしかない自分を認めてくれていたことを、改めてありがたく思った。 
  その感謝の気持ちに、彼は最初、ひどく戸惑った。中学時代は親などは所詮他人でしかないと考えていたが、今では自然と、感謝を向けることができる。 
  
  家族をつくり、働くことで守っている父にも、それまでにないような偉大さを感じた。同じことをしろと言われても、自分には絶対にできないだろう。 
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 19:11:56.45 ID:vDKXf2v5o
  
  よせばいいのに、彼はふたたび堂々巡りの思考に舞い戻った。落胆と達成感、安堵と軽蔑が、それぞれ彼の心を責め立てた。 
  ここにきて、また自分のことを考え始めた。自分はどうすればいいのだろう。どこに向かえばいいのだろう。 
  
  何かひとつでも目標があれば違ったのかもしれない。熱中できることを持っている人は、生きる意味など考えないのかもしれない。 
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 19:20:03.91 ID:vDKXf2v5o
  
  バイトを探し、電話をした。三度。季節は夏から秋へと映り、もう冬が近づいていた。 
  彼は以前として堂々巡りから抜け出せていなかった。連絡した店は、いずれも彼が働こうとするのを受け入れなかった。 
   
  身だしなみも整え、なるべく真摯な態度を取ったつもりだった。 
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 19:26:57.16 ID:vDKXf2v5o
  
  夕方頃、車に乗り帰路についた。姉と母は車内で眠っていたけれど、彼は考え事を続けていた。 
  何かを変えよう、と思う。毎日のように、そう考えている。 
  けれど結果は何も変えることができていない。本当は自分は、このままの生活を続けたいのだから。 
   
132Res/141.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。