38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/29(月) 11:47:11.96 ID:PjuOVipoo
家についてから階段を駆け上がり、また自室に篭る。鍵を噛ませて、床に荷物を投げ捨ててベッドの上に体を投げ込む。
ことあるごとに、この不安は身を貫くように暗い穴倉から這い出してくる。
みんな、こんな不安を抱えながら生きているのだろうか、このむなしさを、それぞれ身の内側に抱えて、なんとか耐えているのだろうか。
何をやっても満たされず、何をするにも恐ろしく、根拠もなく降りかかる絶望じみた不安を、それぞれ耐え抜いているのか。
あるいはこれは自分だけなのか。
こんな馬鹿らしい感傷し、行動まで支配されているのは、自分だけなのかもしれない。
そう考えると彼はいつも悲しい。自分が、ひととしての重大な欠陥を抱えているような気分になるからだ。
人によっては、これをある種の自己陶酔だと一笑に付すかも知れない。それを、彼も自覚していた。
実感を伴った苦痛というものに彼は上手に対処できなかった。
今度こそは平気だ、二度とあんな馬鹿げたものには呑まれない。
毎回そんなふうに考えては、またいつもの不安に襲われる。
彼は瞼を瞑りながら必死に考えた。
自分はこれからどうすればいいのだろう。
どうすることができるのだろう。
そんな思考だけが、ぐるぐると頭で回り続け、とうとう何も生み出すことがなかった。
132Res/141.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。