過去ログ - 男「だったら俺が悪いのかよ!」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:28:43.51 ID:vDKXf2v5o

 もし本当に可能ならば、このまま毎日、ずっと小さな部屋にこもり、本を読み、ネットをして、眠る、それだけの生活を送りたい。
 そしてそれが不可能ならば、自分が何か変わらなければいけないことは明白だ。
 どう変わればいいのだろう、と、近頃彼は思い悩んでいた。
 
 彼も、彼なりに自分を変えたいと思っていた。鬱屈した思考や肥大した自意識は何も生み出さないことに気付きかけていたからだ。
 とはいえ、そのためにどうすればいいのか分からない。何かを変えなければ、という気持ちだけが先行し、結局また、気付くと堂々巡りの思考を繰り返しているのだ。

 六時頃に母と姉は帰ってきた。姉は今年の頭に就職し、社会人となった。学生時代はまだ子供のようだった彼女も、今年になってからひどく大人になった。
 特に、考え方の面では、学生時代とはまるで変わってしまった。
 月々に支払う金のこと、しなければならない手続きのこと、そんなことをいくつもこなしていく内、以前までとは違う「大人」の仲間入りをしてしまったのだ。

 働くようになった姉を見ると、彼はいつも自責めいた後悔と、焦燥じみた恐怖を感じる。いつか自分の同級生達も、こうして社会人になるのだろう。
 そのとき自分は何をしているのだろう。そのときも、こんな子供めいた反抗を続けているのだろうか?

 彼は、家族の前では快活に振る舞った。表向き何も考えていないように、何の悩みもなく、ただ怠惰から外に出なくなったかのように振る舞った。

 それでも彼の心から、何か恐ろしく巨大なものが、いつも自分を睨んでいるような錯覚が消えることはなかった。



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