8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:35:00.31 ID:vDKXf2v5o
父親が帰ってくるのはいつも八時頃だった。彼はそれを避けて、七時の食事を終えてから、すぐに部屋に戻る。
母や姉にはやりたいことがあると言って誤魔化しているが、二人がそれを快く思っていないのは明白だった。
とにかく彼は、またコーヒーを入れて部屋に戻り、鍵をかけてからパソコンの電源を入れた。待機時間中もじっとモニターを眺める。
その最中ですら、彼の頭を薄暗い思考が支配する。自分はこれからどうすればいいのだろう。
いつもと同じようにデスクに向かい、モニターを睨む。一心にマウスを操作して、ただ情報の海に溺れる。
しばらくそれを続けると、暗い没入感が彼を支配する。自分は何をやっているのだろう。
いや、その実、何もしていないのではないだろうか、と。
その日もまた、彼は夜をネットサーフィンに費やした。何も得るもののない生活に、少しずつ自分が慣れていっているのを感じる。
そのことを、心のどこかでおそれていることにも、彼は気付いていた。
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