78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:38:29.06 ID:E3cKPUJ9o
では、目的があれば無駄ではないのか。
違う。どのような行為も行動も、結局のところすべて無駄なのだ。
映画スターも芸術家も学者も職人も誰も彼も、どうせいつかは死んでしまうのだ。
79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:39:38.16 ID:E3cKPUJ9o
◆
待合室に戻る。ふと、自分はここで何をしているのだろうと考えた。
80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:40:07.30 ID:E3cKPUJ9o
長椅子に腰掛ける。もう何度目だろう? 来ていない日も含めて二週間にもなるだろうか。もうすぐ学生たちも冬休みに入る頃だろう。
待合室のテレビに目を向ける。夕方のニュースが始まっていた。ふと見慣れた地名をテレビの中に見つけた。
駅前から少し歩いた通りの、居酒屋のチェーン店と古臭いスナックなんかが同居した通り。
81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:40:51.10 ID:E3cKPUJ9o
シートベルト、座席の位置、ミラーの向き、エンジン、ギア。
機械的操作。習慣的繰り返し。
同じ動作を延々と繰り返す。車はどこかに向かうためのものだが、それならどこに向かうというのだろう?
82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:41:24.95 ID:E3cKPUJ9o
また待合室に戻る。自分はここで何をしているのだろう。もうそんなことはどうでもよかった。
この時間になると待合室は学生たちで溢れかえる。居心地の悪さが彼の気持ちを重くする。
待合室にはムラサキがいた。またか、と彼は思う。偶然以外にはありえないはずだが、偶然というには出来すぎている。
83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:42:40.33 ID:E3cKPUJ9o
「オートマ?」
「うん」
84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:43:09.85 ID:E3cKPUJ9o
テレビではさきほどのニュースを再び取り上げていた。気持ちの悪い事件だと彼は思う。
暴行。被害者の女性。明言はされていないが、そこにはそういうことが含まれているのだろう。
このあたりもだいぶ物騒になったものだ。彼はひとつ溜息をついた。疲れているのだろうか。頭がぼんやりする。
85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/01(木) 21:45:56.24 ID:E3cKPUJ9o
眠ってはいけない、と彼は思う。でも眠っている生徒もいた。なぜ彼は眠っていて、俺は起きているのだろう?
自分の頭に浮かんだ疑問に彼は答えることができない。
それはつまりスタイルの問題なのだ。
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/01(木) 21:46:27.49 ID:E3cKPUJ9o
つづく
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/03(土) 00:52:46.72 ID:mg8F6dwRo
待合室に戻る。自分はここで何をしているのだろう、と考える。いつものことだ。
学生たちの群れの中を移動しながら空いている椅子を探すがなかなか見つからない。
彼は座ることを諦めて、自販機で飲み物を買うために外に出た。ぱらぱらと雨が降りだしている。
88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/03(土) 00:53:13.92 ID:mg8F6dwRo
時間は二種類に分けられると思う。やらなければならないことをこなす時間。何もやることのない時間。
やらなければならないことがある時間には憂鬱を覚え、何もやることのない時間には退屈を覚える。
じゃあ満たされた時間はどこにあるのだろう? いつまでその二つの時間を繰り返せばいいのだろう?
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