38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:43:41.91 ID:nbU0t01Go
  
 「俺に、何の用ですか」 
  
 振り返るのは怖かった。 
 僕のすぐ後ろで、コッ、と軽やかなヒールの音がする。 
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:44:30.09 ID:nbU0t01Go
  
 ゆっくりと目を上げる。 
 僕の前に立つのは、娼婦じゃなかった。 
 OL風の、違う。 
 ダークグレーのスーツに、地味な化粧。 
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:45:19.46 ID:nbU0t01Go
  
 「事件現場の近く」 
  
 口から下を血塗れにして、よろめきながら路地へ入っていく女。 
  
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:46:18.12 ID:nbU0t01Go
  
 「あの子に声をかけようと思ったんだけど……」 
  
 「俺がついてたから」 
  
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:47:26.09 ID:nbU0t01Go
  
 言い過ぎたと思った。 
 この人も悲惨な目に遭ったのに―― 
  
 「そうねえ……」 
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:48:19.10 ID:nbU0t01Go
  
 ―――――自宅――――― 
  
 長い道のりだった。 
 一時間緊張しながらの徒歩はきつい。 
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:49:26.38 ID:nbU0t01Go
  
 「……もしもし」 
  
 「あのさ、俺。今大丈夫?」 
  
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:50:40.47 ID:nbU0t01Go
  
 ―――――翌日・事件現場――――― 
  
 現場は封鎖されていた。 
  
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:51:53.25 ID:nbU0t01Go
  
 「でも封鎖されてるんだよね……」 
  
 「路地か。裏から回れるかも」 
  
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:52:55.06 ID:nbU0t01Go
  
 言い切らないうちに、腕に痛みが走った。 
 切りつけたような、細い傷。 
  
 逃げたいが、足がすくんで動かない。 
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2011/09/12(月) 21:55:18.23 ID:nbU0t01Go
  
 そうか。 
 犯人は、切り足りなくて刺し足りなくて殺し足りなくて、 
 死んでかまいたちになったのか。 
  
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