過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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(神奈川県)
[saga]
2012/05/28(月) 03:06:45.23 ID:9M6RkmvRo
「――――顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ――ッ!!」
しかし、翼が届くよりも先に詠唱が完成する。
ステイルの纏う“法衣”から、炎の衣が生み出された。
彼の魔力と酸素を貪欲に喰らって生成された、異界の炎が目前に迫る翼を焼き切った。
魔女狩りの王を作り上げる魔力を持たず、
またそれを行うだけのルーンのカードを持たない彼に出来る最後の秘策。
予め目立たぬよう特殊インクで生地に薄く刻まれた、二〇〇〇を超えるルーン。
それを利用した魔女狩りの王の術式。
つまり彼は、魔女狩りの王を鎧のようにその身に纏ったのだ。
(一〇秒、やれるか?)
身体に施した耐熱術式が焼き切れるまでの時間と、魔力が底を尽きるまでの時間。
それが一〇秒。
ゆえに彼は、巨大な杭打ち機に打ち出されたかのような勢いで飛び出した。
地上を這うように飛ぶ猛禽類の如き速度で駆けるステイル。
飢えた魔女もそれを放置するほど愚かではない。
ニメートルと半分はありそうな炎の巨人を仕留める為に分裂させた翼で襲い掛かる。
ぐちゃり、と生理的嫌悪感を覚えさせる異音を発する、巨大な樹の幹のような粘液の翼。
ステイルは魔力を集中させてそれらをなぎ払い、なぎ払えない物は切り離した炎を囮にしてやり過ごそうとする。
それでもかわせなかった翼が肩を掠め、身に纏った炎のいくらかがかき消された。
「ぐうううッ――――!!」
その余波で炎の鎧が剥げ落ち、法衣ごと肩の筋肉が引き裂かれる。
引き裂かれた箇所に炎が流れ込み、骨ごと持っていくような勢いで燃焼を始めた。
すぐさま右肩に当てる魔力をカットしようとして、既に感覚が無いことに気が付く。
神経が焼け落ちていたのだ。
ステイルは笑ってその事実を受け入れた。
道理で痛みが無いわけだ。痛みを堪える手間が省けただけありがたい、ステイルはそう考える。
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