116:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:44:23.14 ID:CGXDMCHp0
手に持っていた包丁を、それぞれ脇に放り投げ、手近な刀を、六本の腕に持つ。
刀と、刀を持った男達に取り囲まれ、汀は日本刀を構えて周囲を見回した。
そして、まだ磔られている女の子に、厳しい声で言う。
「起きなさい。あなたもマインドスイーパーなら、少しは私の役に立って」
「あなたは……」
か細い声でそう言うと、女の子は体中の痛みに、小さく声を上げた。
まだ、両足と両手の平が釘で木に打ち付けられており、血が流れ出ている。
「なぎさちゃん……?」
呼びかけられ、汀は怪訝そうに振り返った。
「なぎさ?」
「なぎさちゃんだよね……? あたし、岬(みさき)だよ。覚えてる? あたしだよ……!」
汀よりも少し年上の、どこか赤みがかったショートの髪の毛の女の子――岬は、青ざめた顔のまま、汀にそう言った。
汀は彼女から視線をそらして、近づいてくる蜘蛛男達を睨んだ。
「今トラウマに囲まれてるの。お話はあとでしよう。あと、悪いけどあなたのことは覚えてない。てゆうか知らない」
『チッ』
耳元のヘッドセットから、圭介が小さく舌打ちをしたのが聞こえた。
「どうしたの圭介?」
問いかけると、彼は一拍置いてから、何でもないことのように言った。
『いや、こっちの話だ。それより、トラウマに囲まれてると言ったな。そこはどこだと思う?』
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