117:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:46:56.11 ID:CGXDMCHp0
「異常変質心理壁であることは間違いないと思うけど……中枢どころか、心の外壁にさえたどり着いてないことは確かだよ。十五分じゃ間にあわないと思う」
『間に合わせろ』
「……最悪」
118:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:49:49.91 ID:CGXDMCHp0
「キリがない……」
毒づいた汀の肩で、小白が威嚇の声を上げている。
そこで、地面に崩れ落ちた岬の声が聞こえた。
119:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:52:36.27 ID:CGXDMCHp0
「な……何してるの? 心理壁を直接傷つけたら、この人の体にどんな障害が残るか……」
「どうせ死ぬんだから関係ないよ」
そう言って、汀は血の出ている部分に足をたたきつけた。
120:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:57:49.70 ID:CGXDMCHp0
*
気がついたとき、彼女達は打って変わって爽やかな、小鳥がさえずる丘の上に立っていた。
岬が体の痛みに耐え切れず、足元の草むらに崩れ落ちる。
彼女を一瞥してから、汀は木が立ち並んでいる丘を見回した。
121:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:02:17.53 ID:CGXDMCHp0
「圭介、それは違うよ」
汀は淡々とそう言った。
「助けない方がいいよ、この人」
122:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:07:05.39 ID:CGXDMCHp0
「この人は自壊を選択してる。生きてても、自分のことが何だか分からなくなってるよ」
『でも、治すんだ』
「どうして?」
123:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:10:12.50 ID:CGXDMCHp0
そこには、いつの間に捕まえたのか、虹色の羽をした蝶々が一匹、握りこまれていた。
「あげてもいいよ」
『汀!』
124:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:13:44.38 ID:CGXDMCHp0
「良く見て。これが、あなたよ。あなたは蜘蛛じゃない。あなたは人間。何の変哲もない、平凡で、ごくごく普通の、何の力もない、無力な人間の一人よ」
巨蜘蛛が悲鳴を上げた。
嫌々をするように首を振った蜘蛛に、汀は淡々と続けた。
125:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:17:47.56 ID:CGXDMCHp0
その長い絶叫は周囲に轟き渡り、丘をグラグラと揺らした。
たまらず目を閉じた汀の体を固定していた足が、フッと消える。
胸に大穴を空けて地面に崩れ落ちた汀の目に、空中に浮かんでいる、膝を丸めた赤ん坊の姿が映った。
汀は血を吐き出し、脇の小白に支えられながら赤ん坊の前に這って行った。
そして、写真を赤ん坊の頭につける。
126:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:27:50.63 ID:CGXDMCHp0
*
激しく咳をしながら、汀は目を開いた。
息が詰まり、呼吸が出来ない。
過呼吸状態に陥っている汀の口に、備え付けてある紙袋の口をつけ、圭介はその背中をさすった。
127:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 23:28:34.78 ID:CGXDMCHp0
*
激しく咳をしながら、汀は目を開いた。
息が詰まり、呼吸が出来ない。
過呼吸状態に陥っている汀の口に、備え付けてある紙袋の口をつけ、圭介はその背中をさすった。
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