15:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 00:06:17.13 ID:CGXDMCHp0
「赤十字の病院でも……同じ診断をされました。もう末期だとか……」
「はい。末期症状ですね。言葉を話さなくなってからどれくらい経ちますか?」
「四日経ちます……」
「絶望的ですね」
簡単にそう言って、圭介はカルテに何事かを書き込んだ。
「ぜ……絶望的なんですか!」
母親が悲鳴のような声をあげる。
「はい」
彼は頷いて、カルテに文字を書き込みながら続けた。
「隠しても何もあなた方のためになりませんので、私は包み隠さず言うことにしているんです。自殺病は、発症してから自我がなくなるまで、およそ二日間と言われています。第四段階での場合です。今回のケースは、その制限を大きく逸脱しています」
彼は立ち上がってFAXの方に行くと、送られてきた資料を手に取った。
それをめくりながら言う。
「担当は赤十字病院の大河内先生からの紹介ですね。知っています。どうして入院させなかったんですか?」
「そ、それは……娘が入院だけは嫌だと言い張って……」
「その結果命を落とすことになる自殺病の患者は、全国で一日に平均十五人と言われています」
柔和な表情のまま圭介は続けた。
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