過去ログ - 淫魔「んふふ」 修道女「闇の気配がする……」
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◆WjI07W0ub6
2012/08/02(木) 23:00:44.13 ID:VZOkYNnJo
祭神の城の朝は遅い。とんでもなく遅い。
祭神の居城では連日連夜、歌と踊りが続くため、早くに起きて動き始めている者は少なかった。
修道士とメイドは、早くに朝食と身支度を済ませ、コロッセオの試合場近くに与えられたコテージから、朝露に湿る街路を歩き出した。
城の広大なすり鉢状の屋上は、それ自体が街として作られており、中央の試合場を下り坂の石畳が放射状に取り囲んでいる。
メイドと修道士の歩く道からも、試合場の全景が良く見渡せた。この街はすべての場所が試合場の特等席なのだ。
今日の朝食はいつもどおりのスープとパン、それに南方の果物盛り合わせだった。
メイド「お体の調子はいかがですか?」
修道士「全く問題ありません。南方の果物で体に力が満ちるようです。試合が終わったら、おなかいっぱいに食べたいですね」
メイド「ふふ、ではご用意いたします」
修道士「ありがとうございます……しかし、大丈夫なのでしょうか?」
メイド「何か?」
修道士「今日の昼前には試合が始まるのでしょう? なのに舞台には何の用意もないようですし、良く晴れているのに街を歩く者がいない……本当に今日、試合をするのですか?」
メイド「遅くまで笛や太鼓が響いていましたから、みんなまだ寝ているのでしょう……日が昇ってから間もありませんから」
修道士「そうですか……」
朝露を含んだすずしい空気の中、ふたりは試合場に至った。
試合場は城のちょうど中心、屋上のすり鉢の中央に位置し、巨人でも楽に相撲がとれるほど広大だった。試合場はまわりの石畳より、人の胸ほどの高さに一段高くなっていて、試合場に登るための階段が、等間隔に設けられていた。
修道士「登ってもいいのでしょうか?」
メイド「はい」
試合場はざらついた灰色の石で、雨などで濡れても、競技者が脚を滑らせることはなさそうだ。
夜の冷たさを残した石の床をさわると、手の甲に受ける朝日の暖かさを感じる。
メイド「いかがですか?」
修道士「地面はしっかりしている……悪くないですね」
メイド「よかった」
修道士「しかし……あなたも出場されるのですか?」
メイド「ええ。これでも鍛えてますから!」
むん、と力こぶを作ってみせるが、紺色ドレスの長袖の下は、戦士と言うにはあまりにも細い。
修道士「ここで、試合時間は30分でしたね」
メイド「はい。1チームは100名まで登録できまして、相手を戦闘不能にすれば勝ち。制限時間がすぎたら判定に持ち込まれます」
修道士「判定法は?」
メイド「割合にしてどのくらいの人数が残っているか、たとえば10人の同士の対戦で、3名残っているチームより6名残っているチームに良い判定が与えられます……が、それが絶対と言うわけでもありません」
修道士「試合を通して、主導権を握っていた方が良い判定をもらえる……と?」
メイド「そうです。拳闘などと同じですね」
修道士「チームは一度に全員を出したり、ひとりずつ出場させても良いと」
メイド「はい。この試合場の広さにしても、複数人の形式にしても、祭神様の御前試合は模擬戦争の色が強いんです。対戦者が倒れたら、速やかに次のメンバーが交代する。複数人の場合は、戦闘不能者を速やかに場外に輸送する。負傷者への救護が行われない場合、戦場での動きができていないとしてチームにペナルティが科せられますから、人数が多い方が有利というわけでもありません」
修道士「なるほど、それなら試合中、メイドさんは試合場の縁で待機してください」
朝日を受けて、試合場の表面はすでに暖まりはじめている。
メイド「待機ですか? ふたりなら別々に戦うより、タッグを組んだ方がいいと思うのですが……」
興奮を隠さず青い猫耳をピクピク動かし、メイドは見つめるが、修道士は首を振った。
修道士「いえ、ご婦人を危険にさらすわけには参りません……私が単機、先方として出場します」
メイド「修道士様がそうおっしゃるなら……むぅ」
不満そうに口を膨らませるメイドに、修道士はほほえんだ。
修道士「大丈夫、負けませんから」
修道士の黒髪が揺れる。朝凪がおわり、風が吹き始めていた。
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