11: ◆hZ/DqVYZ7nkr[sage]
2011/11/30(水) 02:29:08.73 ID:facbNr1eo
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十年前に初めて買ってもらった携帯電話は一度も使われる事は無かった。
登録件数は二件。
メンバー分けなどする必要はないのにその登録者の内の一人は『親友』と分類されていた。
一方通行は何かを考える時、ひどく気分がざらつく時、心が乱された時、精神状態が安定しない時は必ずその携帯電話のディスプレイを眺めている。
漢字なんてその時は簡単なものしか習っていなかったから『読めるように』と表示される名前は『かき根ていとく』となっている。
一度『垣根帝督』と直した事があったが思い出を壊してしまった気がしたので元に戻した。
今回もいつも通りベッドに腰掛けディスプレイを眺めながら考え事をしていた。
レベル6。
妹達。
二万体。
虐殺。
クローン。
オリジナル。
実験。
どうすれば実験を止める事が出来るのか。
どうすれば妹達は救われるのか。
答えの出ない自問を繰り返す。
正確に時を刻む時計の音だけが部屋に鳴り響く。
その一定のリズムを十年間鳴る事のなかった着信音が崩した。
表示されている名前は『かき根ていとく』
恐る恐る通話ボタンをプッシュすると、ずいぶんと低くなったでもどこか懐かしい声が聞こえた。
同時に嫌な予感が襲って来る。
そして予感は垣根の発した【妹達】【実験】【虐殺】という単語により現実へとなる。
「クソッタレが……」
電話を一方的に切り、携帯電話を壁に叩きつけようとしたが、そのままベッドの上の枕に放り投げる。
玄関に進み、ドアを蹴りあけそのまま研究所の方へと
−−跳んだ。
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