193: ◆hZ/DqVYZ7nkr[saga]
2011/12/04(日) 07:52:32.23 ID:ex9AI0hxo
「そう、あんたはそれに何も疑問を感じないの?反抗しないの?生きたいと思わないの?」
「一方通行に殺される、それがミサカの生きがいですから。とミサカは疑問も反抗も生きたいとも思わないと即答します」
「……感情ってもんが……本当にない……の?」
御坂は涙をこぼした。
殺される為だけに生み出され、楽しいとも嬉しいとも思う事が出来ず、ただただ死んでいく自分の妹を心から不憫に思った。
「はい、ありません。とミサカは肯定します」
視線を逸らし、御坂の涙を視界に入れぬ様にしながらミサカはいった。
「そう、そっか」
御坂は至近距離まで近づきく。
「これが、温かい……って……事よ」
優しくミサカを抱きしめ、人の温かさを伝えようとした。
「覚えておいて、あなたは死なない。私が実験を止める、だからあなたの姉を、常盤台の超電磁砲・第三位の御坂美琴の事を……私の熱を忘れないで……姉らしい事なにも出来ないままでごめんね」
御坂の計画は『1手目で死ぬ事』であった。
128手目で死ぬはずの御坂が1手目で死んだら研究員はどう思うだろう?
『《樹形図の設計者》はまちがえたのではないだろ?御坂美琴に価値はないんじゃないか?それのクローンを二万体殺しても絶対能力者には届かないのではないか?』と思うことだろう。
それが狙いであった。
それゆえ、御坂は実験中に一方通行に戦いを挑もうとしていた。
そして、その時の被験体となった妹には申し訳ないが一緒に死んでもらおうと思っていた。
仮に御坂が1手目で死んだとしても、その実験までは続けられるだろう。
と思っていた。
だから、一緒に逝こうとしていた。
だが、今、妹達の一人と数回のやり取りをしてその意志は変わった。
――もうこれ以上一人も殺させてたまるか。
――第三位の誇りにかけて、超電磁砲の名にかけて、なにより……この子達の姉として……。
「そうだ、これあげる……」
ミサカの体を離すと御坂はカエルのキャラクターが描かれたバッヂをミサカにつけた。
「ふふ、大事にしなさいよ!あ、妹達ってあと何人いるの?」
涙を拭き取りながら、今度は笑顔を振りまく。
「今のところ培養器から出されているのはこのミサカともう一人だけです。とミサカは正直に答えます」
「そっか、じゃあこれはその子にあげて!」
そういうともう一つバッヂを取り出しミサカに握らせた。
「じゃあ、私はやる事が出来たから行くわ、本当は遊びたいけど……ごめんね」
別れ際、御坂はまた泣きそうな顔をしたがなんとか堪えた。
そして一度も振り返らずミサカの前から姿を消した。
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