過去ログ - 岡部「学園都市だと!?」上条「……はい」
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2011/12/04(日) 14:49:10.66 ID:9kMGiZg5o
「お、おい、待ってくれ!」岡部が大きな声を上げ、全員が動きを止めた。
「なんですの岡部さん? 今さらできないとでもいいますの?」
「いや、もう覚悟を決めた。おまえたちのいう通りにやってみようじゃないか」
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2011/12/04(日) 14:49:44.46 ID:9kMGiZg5o
「……そうね」岡部の言葉に冷静になった紅莉栖がいった。「それなら岡部、あなたと当麻は外に出て」
「なに?」
「わたしがこの子たちにお礼をいうわ。あんたは当麻にいってちょうだい」
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2011/12/04(日) 15:04:49.27 ID:9kMGiZg5o
岡部と上条が出ていったあと、紅莉栖は4人の少女を前にして深く頭を下げた。
「紅莉栖さん? そんなにあらたまらなくても……」少し慌てたように美琴がいった。
「いいえ、本当にありがとう……。突然現れたわたしたちを信じてくれてありがとう。こんな無礼なわたしたちに親切にしてくれてありがとう。わたしたちを助けてくれてありがとう。……わたしたちを仲間にしてくれてありがとう」
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2011/12/04(日) 15:05:28.16 ID:9kMGiZg5o
「美琴、あなたは最初からわたしたちを信じてくれた。わたしたちのために力を貸してくれて、黒子や木山さんに頭を下げてくれた。あなたは人のために動くことのできる本当に優しい子。だけど当麻にはもう少し優しくしなきゃダメよ」
「紅莉栖さん……」すでにまぶたを腫らすほどの涙を流していた美琴が、無理に笑おうとしながら声にならない声を出した。「紅莉栖さんこそ……岡部さんに……」
「そうね」と笑って紅莉栖は黒子のほうを向いた。
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2011/12/04(日) 15:06:40.89 ID:9kMGiZg5o
「黒子、顔を上げて。あなたはそんなに小さな体で立派な風紀委員なのね。すごい能力も持っているし冷静で頭もいい。わたしたちを思いやってくれたことも絶対に忘れないわ。でも、もう少し素直になったほうがいいかもね。あなたならきっと素敵なレディになれるわ。わたしなんかがいっても信じられないかもしれないけど」
「紅莉栖さんは、素敵なレディですの……」涙を見せまいと顔を伏していた黒子は、紅莉栖にいわれてその顔を上げ微笑もうとした。「紅莉栖さんこそ、素直じゃない、ですの……」
「わかっているわ」と紅莉栖は頷き次に初春に顔を向けた。
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2011/12/04(日) 15:07:47.86 ID:9kMGiZg5o
「飾利、あなたも立派な風紀委員ね。そしてスーパーハカー。のんびりとしているようだけど、この中じゃ一番しっかりしているのかもしれないわ。その場にいる全員に気を配れる温かい心も持っている。そして何より、ともだち想い……。その温かさでみんなを守る縁の下の力持ち。ゴールキーパーみたいなものね」
「わたし、そんな、しっかりなんて……」ハンカチを目に当てて、泣くことを止めようともせずに初春はいった。「わたしなんて、守られてばかりで……」
「みんなあなたを頼りにしているわよ」紅莉栖は微笑んで最後に佐天のほうを向いた。
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2011/12/04(日) 15:09:21.41 ID:9kMGiZg5o
「涙子、ありがとう。違うのよ。わたしたちが仲間にしたんじゃないの。あなたたちが、あなたの笑顔が、わたしたちをあなたたちの仲間にしてくれたのよ。まったく、本当にすごい能力よね。そしてあなたはとても強い心を持っている。でも、もっとともだちを、仲間を頼ってもいいのよ。いつも元気な声で笑っていなくてもいいの。この子たちはみんなあなたを抱きしめてくれるし、あなたの涙を拭いてくれる。これからもっと頼れる、頼りたい人も出てくるかもね」
「わたし……、でも……今は、笑いたい、のに……」そういって笑おうとする佐天の涙を紅莉栖が指ですくった。「それと……無精髭の生えている人……本当は、結構好み……です」
「あいつはあげられないわよ」と紅莉栖は少し眉を寄せて笑った。
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2011/12/04(日) 15:10:22.04 ID:9kMGiZg5o
そして紅莉栖は半歩ほど後ろに下がって4人の少女の顔を見渡すと、また深く頭を下げた。
「みんな、本当にありがとう。どんなにお礼をいっても伝えきれないわ」
「大丈夫。伝わっていますから……。ラボメン……、仲間ですから」佐天が笑顔を作って見せた。
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2011/12/04(日) 15:11:34.98 ID:9kMGiZg5o
一方、岡部も上条に頭を下げていた。
しかし、こちらは一言も話さず、岡部はただ頭を下げ続けた。
「あのう……、岡部……さん?」しばらくその状態が続き、どうすればいいのかわからなくなった上条は、腰をかがめて岡部の顔を下から覗き込もうとした。
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2011/12/04(日) 15:14:07.21 ID:9kMGiZg5o
「でも、言葉がなくたって伝わりますよ。何もいわなくても……、そんな風に頭を下げなくても……、伝わります」上条も目に涙を溜めていた。「とにかく頭を上げてください」
「それはできん!」
「岡部さん……。じゃあ、そのままで聞いてください。おれ、不幸なんですよ。この右手のせいらしいんですけどね。御坂にはいつも追いかけ回されるし、大食いのシスターは転がり込んでくる。レベル5の第1位と喧嘩したことだってあるんです。それに魔術師なんてわけのわからないやつらが襲ってきたり……。それでいつも病院送り。他にもいろいろあるんですよ。それで今日も、突然変な機械にぶち当たって、中から白衣の人たちが出てきて……、ああ、これは不幸だって思ったんです。でも違いました。岡部さんと紅莉栖さんは、まったく知らない場所だっていうのに明るくて強くて、御坂や佐天さん、他のやつらにだって優しかった。それですぐにあいつらと仲良くなってしまって、いつの間にかおれもその仲間みたいになってて……。なんだか楽しかったんです。おれを仲間にしてくれてうれしかったです。それで思い返してみたら、おれの人生って結構楽しいんですよ。確かにいろいろあるし、貧乏だし、入院代はかさむし、小さな不幸を挙げたらキリがないけど……。どれもこれも思い返してみたら結構楽しいんです。いろんなやつの顔が浮かんでくるんですよ。助けることができた仲間。助けてくれた仲間。浮かんできたあいつらの顔は、みんな笑っているんです。その、なんていったらいいのか、おれもわかりませんけど、最後に笑っていれば、それは不幸じゃないのかなって……、楽しいことなんじゃないかって思うんです。だから岡部さん、最後は……笑いませんか?」
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