3: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/11(日) 19:21:04.25 ID:3NsOQz0Wo
サングラス越しのよく目を凝らして見ると本当に猫であった。
今度のは尻尾も大きくない、正真正銘の猫だ。
「どうしよう、困ったな。おいで」
長めの髪を二つに縛ったその少女は、不安そうな表情で猫に手を差し出し呼んでいる。
「フーッ」
しかし猫のほうは警戒して彼女の寄って行こうとはしない。
「どおした」
彼はしゃがみこんだ少女に声をかける。
普段の彼ならば絶対にやらないことだ。
「え? あの。あそこの茂みにいる猫なんですけど」
初対面の人間に声をかけられて動揺するかと思ったけれど、少女は特に動ずることもなく、
彼の声に返事をする。
「ん?」
「なんだか、脚を怪我してるみたいなですけど。私が呼びかけても寄ってこないんです」
「あれはお前ェんところの猫か?」
「あ、いや。そうじゃないんですけど……」
少女は口ごもる。
野良猫だろうか。
「ちょっとどいてな」
彼は少女を押しのけるようにその場所にしゃがみこみ、猫と向き合った。
その猫は野良猫らしい警戒心を持った瞳でじっとこちらを伺う。
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