382: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/27(火) 21:31:11.90 ID:0y7Thqnno
短い会話だった。
けれども、今の自分たちにはそれで十分なのかもしれない。播磨はそう思った。
しばらく歩くと、見覚えのある姿が目に入る。
「おはようございますまどかさん。あら、今日は殿方のエスコート付きですか?」
少し癖のあるウェーブがかった髪の毛、そしてどこか間の抜けた声。
「ええと、お前ェは確か、上条のとこの……」
「はい、志筑仁美です。ごきげんよう、播磨さん」
「拳児くん、仁美ちゃんと知り合いだったんだね」まどかは播磨のほうを見て言う。
「ん? ああ」
「あれ? さやかちゃんは」
そして周囲をキョロキョロと見回すまどか。
「さやかさんは先に学校に行くと連絡がありましたの」
「え?」
ふと、まどかの表情に影が差す。
「まどか」そんな彼女に播磨は声をかける。
「なに?」
「お前ェが迷惑じゃなければ、帰りも迎えに来ていいか」
「拳児くん……」
まどかは少し顔を伏せると、不意に笑顔を見せた。
「私は、大丈夫だよ」
「そうか」
状況は何一つ変わっていない。
ただ、まどかの気持ちが少しでも前向きになってくれればそれでいい。
播磨はそう考えつつ、自分の学校へと向かった。
*
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