517: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/06(金) 19:41:10.24 ID:9e1wVLifo
それはまるで真夏の雪だるまのような場違いな雰囲気に包まれていた。
彼の足は、彼の意志とは無関係にその建物のある敷地内に向かって行く。
「なんだ?」
何か得体の知れない不思議な力によって引き込まれる播磨。
そして、玄関を開けた。
「……あの」
中に入ると、そこは静かだ。そして暗い。
祖母の家で見たことのある、昔の建物特有の暗さがそこにあった。
「あら、お客さんかしら?」
不意に女性の声が聞こえてくる。
すっすっと、まるで幽鬼のように音をほとんど立てず一人の女性が現れた。
モデルのように背が高く、それでいて胸の大きな女性だ。
腰まで届くほどの長く艶のある髪の毛がやたら印象的であった。
そしてなぜか1970年代に流行ったような服を着ている。
「お客ってなんだ? 俺は気が付いたら、ここに」
「必要だからここに来たんでしょう?」
「ここは、なんだ?」
「ここは、何でも願い事をかなえる“ミセ”よ。対価さえ払えばね」
「店?」
「ま、立ち話もなんだから、奥へいらっしゃい」
「……」
*
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