43:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 02:58:24.02 ID:c4Axoe8J0
―ああ、紅茶を淹れてくれたのね。
マミは母親を笑顔で迎えようと、入り口の方へ振り返ろうとした。
しかし、身体は動かなかった。
44:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 02:59:49.59 ID:c4Axoe8J0
「……!」
声にならない叫びとともにマミは目覚めた。
身体中にびっしょりと汗をかいていた。
45:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:00:52.46 ID:c4Axoe8J0
「どうかしたのかい?なんだか、とても疲れているように見えるよ」
「―あ。ううん、何でもないの。ちょっと、嫌な夢を見ていただけ」
「ふうん」
46:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:02:49.32 ID:c4Axoe8J0
カーテンを開けると、朝の陽光が部屋の中に降り注ぐ。
マミは紅茶を淹れてから、鞄を開け、中から灰色のノートを取り出した。
(真夏の夜の夢……イタリア語ではなんていうのかしら)
47:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:04:10.13 ID:c4Axoe8J0
マミとあきが、子どもだった頃。
その日、あきの家の屋上で、彼女はマミに囁きかけるようにして尋ねた。
48:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:05:57.66 ID:c4Axoe8J0
「ええ?あき、ずるい」
「でも、マミはまだ教えてくれてないじゃない」
「一番を教えてくれなきゃ、意味ない」
49:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:07:09.67 ID:c4Axoe8J0
「ええ、そうね。でも、やっぱりそんなこといきなり言われたら、誰だってびっくりするわよ」
「やっぱり、笑った」
あきは口をとんがらせて言った。
50:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:07:51.13 ID:c4Axoe8J0
「……曲の途中ですが、ここで気象情報をお伝えします」
マミを回想から引き戻したのは、ラジオから流れてきた無機質な声だった。
「大型で非常に強い台風6号は、日本の南海上を……」
51:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:09:18.35 ID:c4Axoe8J0
マンションのエントランスを一歩出ると、けたたましい蝉の鳴き声が四方から降り注いできた。
(夏、ね……)
朝方とは言え、強い陽射しが容赦なく照りつける。
52:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:10:05.59 ID:c4Axoe8J0
救急車の周りには、野次馬たちが群がっている。
その中には、通学途中の見滝原中学の生徒も何人か混じっていた。
「はい、担架通りますから下がってー」
53:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:13:23.02 ID:c4Axoe8J0
見滝原病院は、市民はもちろんのこと、近隣の自治体からも患者が多く訪れる巨大な総合病院だった。
近代的だがどこか無機質なその建物の中は、ふだんは見舞客や患者でごった返していたが、日も暮れかかる時間ともなると、さすがに少し落ち着いた雰囲気を取り戻しつつあった。
「とにかく、たいした怪我じゃなくてよかったわ」
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