190:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 01:09:20.22 ID:VImMrTW10
「……………………すているは、私をお嫁さんにするの、イヤ?」
「でっ!?」
舌を噛み切ったような奇声がステイルの口から噴き出た。
ほとんど同時に女が、喉を涙に塞がれたような咽ぶ異音を洩らす。
“もしかしたらステイルは、自分と一緒になるのが嫌なのだろうか?”
“だから、ここまで顔を真っ赤にして逃げ道を探っているのではないか?”
第三者が耳にすれば論理を『ろ』の字から無視したような阿呆な考えだと呆れるだろう。
指輪を渡して先に想いを伝えてきたのはステイルの方だ。
しかしこの場の誰もが忘れかけているが、ほんの六時間前、インデックスの精神は一度
完膚なきまでに擦り切れているのである。
衰弱しきってしまった心というのは本来、心療内科医がするようにゆっくり時間をかけて
修復していかなければならないものだ。
ステイルは魔術師であって、医者でなければカウンセラーでもない。
正しい心の治し方など知るはずもない。
「ああ、もう………………イヤなわけが、ないだろう」
だから男は、女のか細い肢体を抱きしめた。
それ以外のやり方など思いつかなかったのだろう。
「ほ、ほんと? 私をがっかりさせたくなくて、口から出まかせ言ってないよね?」
「どれだけ信用がないんだ、僕は」
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