過去ログ - とある神父と禁書目録
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372:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:06:37.63 ID:GFjxftzi0

ステイルの歯がギリ、と部屋中に響き渡るような派手な音を立てて軋んだ。
苦虫をグロス単位で噛み潰したような味が奥歯のさらに奥から染み出してくる。
歪みきった相貌が全世界のお茶の間に電波を通してお披露目されていることも、怒りのあまり頭から吹っ飛んだ。

以下略



373:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:09:19.56 ID:GFjxftzi0

その表情はことこと煮込んだシチューのように、芳醇な幸福の味わいに染まりきっていた。
とろけたミルクのごとく薄く色づいた頬が、崩れるか崩れないかの瀬戸際でかろうじて最大主教としての体裁を保っている。
それ以外の部位は蜂蜜を塗りたくったも同然の甘い香りを放って、参列者を老若男女問わず惹きつけていた。
唇にルージュは差されず、アイラインも自然のまま。
以下略



374:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:11:17.37 ID:GFjxftzi0

「ははは、そう緊張せずとも。どうだいインデックスちゃん。ステイルくんは、ちゃんと君の幻想(くのう)を壊してくれたかな?」

「うーん……半分ぐらい、かも。乙女の懊悩は、一朝一夕には解決できないほど深いんだよ」

以下略



375:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:12:43.07 ID:GFjxftzi0

踵を返して妻と息子(とついでにローラ)の待つ最前席へ戻る、父親の後ろ姿。
それを束の間目で追ってのち、ステイルは花嫁――――インデックスへと向き直った。


以下略



376:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:14:06.35 ID:GFjxftzi0

「……申し訳ない、総大主教。その、ただ今列挙された方々すべてが、僕に?」

「うむ」

以下略



377:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:16:30.77 ID:GFjxftzi0

「丹念に作り上げた手作りの一品×千枚だ、ありがたく思っていいぞ」

「……メッセージカードのようなものですか? それにしても多すぎです。限度というものを知ってください」

以下略



378:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:17:35.73 ID:GFjxftzi0

仰角九〇度、距離三メートルの地点から威勢のいい声。
いま一度天窓を仰ぎ見れば、開け放たれたガラス戸から舞い込む大量の紙束。
会場を襲った紙吹雪に一堂が騒然とする中、そのうちの一枚をインデックスが拾い上げた。
片面が見覚えのある赤。
以下略



379:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:19:05.86 ID:GFjxftzi0

会場中に散らばった紙切れが、統率の取れた渡り鳥の群れと化してステイルの掲げた右手に集る。
荒く息を弾ませながら都合千枚のカードの束を器用に懐に収めた。
この収納テクニック一つとっても、ステイルの死活に関わる重大な企業秘密であるというのに。

以下略



380:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:26:39.03 ID:GFjxftzi0

「あっちゃー! よりにもよって俺のがインデックスの手に残ってたのかよ! やべ、恥ずかしくなってきた」

「さすがは当代一の不幸者よねぇ。我が夫ながら感心するわ」

以下略



381:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:28:19.91 ID:GFjxftzi0

最後に裏返した一枚には、名が記されていなかった。


『森然、今さら多くを語る気はない。達者でやることだな、ヘタレ神父』
以下略



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